「やれる気がしない」から動けない
「挑戦したいのに、自分には無理だと思ってしまう」
この感覚は、年齢や能力の問題ではなく、心理学でいう セルフ・エフィカシー(自己効力感) に根ざしています。
アルバート・バンデューラが提唱したこの概念は、
「私はこの課題を達成できる」 という具体的な信念。
これが高い人は動き出し、失敗しても修正して続ける。逆に低い人は、まだ始めてもいないのに「無理だ」とあきらめてしまう。
「いや、そんな気持ちは簡単に持てないよ」と思う人もいるでしょう。確かにそうです。だからこそ、頭の中で無理に信じ込むのではなく、日常の中で“証拠”を積み上げる方法が大事なのです。
小さな成功をバカにするな
セルフ・エフィカシーを育てる最強の方法は、達成経験です。
でも「資格に合格したら」「副業で月5万稼げたら」と大きな成功だけを思い描いても、それは遠すぎる未来で心が折れてしまいます。
むしろ効くのは、笑ってしまうほど小さな成功です。
- 勉強なら、テキスト1ページだけ読む
- ブログなら、見出しだけ作る
- ランニングなら、家の外に出て100m走る
「そんなの意味あるの?」と疑う人に伝えたいのは、小さな成功は雪だるまの芯だということ。
最初は小石にしか見えなくても、転がし続ければ大きな塊になる。逆に「一気に大きく作ろう」とすると、途中で割れて散らかるだけ。
小さな成功をバカにせず、まずは芯を作る。それが「やればできる」という信念の土台になります。
モデルを見て「俺もいけるかも」と思え
人は、自分と似た存在が成功するのを見て勇気をもらいます。これが 代理経験。
「でもあの人は特別だから」と突っ込みたくなること、ありませんか?
たとえば起業家や有名ブロガーの話を聞くと、すごすぎて逆に心が折れることもあります。
そこで見るべきは「少し先を歩く人」です。
同じ年代でFP2級を合格した人。忙しい会社員でも週末だけ副業ブログを続けている人。あなたにとって“リアルに近いモデル”を観察することが重要です。
比喩で言えば、富士山の山頂を見上げて「無理」と思うより、同じ登山口から一歩先を行く仲間を見て「このペースなら自分も登れる」と感じるほうが続けられる。ロールモデルは「登山仲間」くらいの距離感で探すのがコツです。
言葉は心のOSを上書きする
「できるできる!」と根拠なく言い聞かせるのは空念仏ですが、言葉は確かに心を動かす力を持ちます。
子どものころ、先生や親に「君ならできる」と言われて本当に頑張れた経験はありませんか? それは「言語的説得」が効いていた証拠です。
大人になってからは、周囲からそんな言葉をもらう機会は減ります。だからこそ、自分で自分にかける言葉(セルフトーク)が大事です。
「まだ完璧じゃないけど、一歩は踏み出せた」
「今日は昨日より3分長く続けられた」
これは心のOSをアップデートするプログラムのようなもの。バグだらけの「どうせ無理」という古いOSを少しずつ書き換える作業だと思ってみてください。
感情と身体が土台を決める
セルフ・エフィカシーは頭だけの問題ではありません。
眠れず疲れ切った状態で「よし挑戦だ!」と思えるでしょうか。逆に、よく眠って身体が軽いときは「できそう」と自然に思えます。
これは 情動的状態 の影響です。
呼吸が乱れ、心臓がバクバクしていると「無理」と判断しやすい。落ち着いて呼吸が整っていると「いける」と思いやすい。
だから行動を支える基盤は、睡眠・運動・呼吸です。
たとえば朝ランニングをする人が口を揃えて「仕事でも気持ちが前向きになる」と言うのは、心身の状態が効力感を底上げしているからです。
進捗を“見える化”して未来の自分に証拠を渡す
「やってるのに全然進んでいない気がする」と思ってしまうのは、記録していないからです。
実際には進んでいても、証拠が残っていなければ「できていない」と脳は解釈します。
だからこそ 進捗を見える化する習慣を持つことが大切です。
- ランニングアプリで距離を残す
- 勉強ノートに正答率を書き込む
- ブログのPVを毎週グラフ化する
これは未来の自分に「ほら、できてるじゃないか」という証拠を渡す行為です。信念は記憶だけでは育ちません。視覚化された記録が「自分はやれる」という感覚を確かなものにしてくれます。
今日からできる「最小の一歩」
「でも、それでも動けない」という声もあるでしょう。
そんな人に提案したいのは、行動を“笑えるほど小さく”することです。
- ランニングなら「シューズを履いて玄関に立つ」だけ
- 勉強なら「机にテキストを置く」だけ
- 副業なら「ブログにログインしてタイトルを入力」だけ
バカバカしいほど簡単な行動でも、それを毎日繰り返せばセルフ・エフィカシーは確実に強化されます。
最小の一歩は「自己効力感の呼び水」。動けば次の動きが自然と引き出されます。
まとめ
- セルフ・エフィカシーは「できる」という信念で、才能や年齢ではなく習慣で育てられる
- 小さな成功を笑わず積み重ねることが雪だるまの芯になる
- ロールモデルは「少し先を歩く仲間」を選ぶと効果的
- 言葉は心のOSを上書きする、自分で自分を説得せよ
- 身体と感情のコンディションが効力感の底力を決める
- 記録を残し、未来の自分に「証拠」を渡すこと
そして最後に──セルフ・エフィカシーは机上の理論ではなく「小さな行動の積み重ね」がつくり出すもの。今日、あなたが笑ってしまうほど簡単な一歩を踏み出すことから未来は変わります。
\ あわせて読みたい /
変革を成功させる方法|個人の副業にも活かせるコッターの8段階プロセス
やりたいのに体が動かない50代へ|心理学と古典から学ぶ“行動できる自分”のつくり方
50代副業で月5万を稼ぐために必要な3つの思考法|細分化・認知行動・キャリア戦略
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
コメント