何のために仕事をするのか?|脳科学が出す「意欲と幸福」

「何のために仕事をするのか?」という問いに、脳科学は答えを持っている

通勤電車の中で、ふと心が遠くなる瞬間がある。
深夜、オフィスの蛍光灯だけが照らすデスクで、疲れ切った頭を抱える。
そんなとき、胸の奥から湧いてくるあの問い。

「何のために、こんなに頑張っているのだろう?」

ラジオディレクター時代は、ライフワークバランスという言葉もなく、
パワハラという概念も曖昧な時代でした。
深夜の収録、徹夜の編集、睡眠時間を削って番組を作ることが「当たり前」だった時期があります。
それでも心のどこかで「何のために働いているのか?」という疑問は消えませんでした。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、
「幸福こそ、人間にとって究極の目的であり、最高善である」と説きました。

彼が言う幸福(エウダイモニア)とは、一時的な快楽ではなく、
“人生の長い時間を通して続く、深い満足と充実” のことです。

そして、その幸福は「良い行い」「社会とのつながり」「自分らしさの発揮」によって育まれる。
つまり、仕事も本来は “幸福に向かうための手段” であるということです。

実は、人間は“気合や根性”ではなく、脳の仕組みを整えることで幸福に向かう働き方ができることが、科学で分かってきました。

脳は、努力ではなく「順番」で動いている

多くの人は「成果が出たら幸せになれる」と考えています。
昇給、契約、売上、称賛。

しかし、脳科学が示すのは逆の答えです。

幸福だから行動できるのであって、行動したから幸福になるのではない。

脳が最適な状態でなければ、どれだけ成功しても虚無感に襲われます。

心と意欲の基盤を作るのが、次の3つの脳内物質です。

🧠 脳内物質仕事での役割
セロトニン心の安定。ストレスに折れない土台。
オキシトシン人との絆。孤独を溶かし、安心感を生む。
ドーパミン意欲と快感。「もっとやりたい」を生むエネルギー。

そして、この3つには「正しい順番」があります。
順番を間違えると努力は空回りします。
次の章から、順番どおりに整える方法を具体的に解説します。

ステップ1|心の土台をつくる:セロトニン

最初にやるべきことは、やる気を出すことではありません。
やる気より先に「心の安定」を作る必要があります。

セロトニンが不足すると、
・落ち込みやすい
・イライラしやすい
・集中力が続かない
・不安が頭から離れない

どれだけ努力しても、心が揺れていては結果は積み上がりません。

私は毎朝4時に起きてランニングをしています。
根性ではありません。
脳を整えるための「メンテナンス」です。

セロトニンは、太陽光とリズム運動で生成されます。

科学が示すセロトニンの出し方

・起きたらカーテンを開けて光を浴びる

・5〜15分だけ歩く、軽く走る、深呼吸する

・朝食を「よく噛んで」食べる(咀嚼もリズム運動)

たったこれだけで脳は「今日も大丈夫だ」と認識し、
心に安定が戻ります。

ステップ2|孤独を溶かす:オキシトシン

次は、外側に「安心のバリア」を作る段階です。

多くの人は「仕事がつらい」のだと感じていますが、
本当の原因は仕事そのものではありません。

相談できない・頼れない・理解されないという孤独です。

役職が上がるほど孤独は深くなります。
私自身、業務部長の立場になってから、
誰よりも「孤独」という重荷を感じてきました。

そこで気づいたのは、「人に優しくする」という行動の力です。

部下の頑張りを認め、具体的に感謝を伝える。
それだけで相手の表情が和らぎ、自分の心も軽くなる。

これは、オキシトシンが分泌された証拠です。

科学が示すオキシトシンの出し方

・「ありがとう」を具体的な言葉で伝える

・信頼できる人と、仕事に関係のない雑談をする

・家族や仲間、ペットと触れ合う

・誰かの努力を言葉でそっと認める

オキシトシンは、人と比較する心を消し、ストレスホルモンを鎮めてくれます。

「仕事がつらい」のではない。
「一人で抱えること」が、つらいのです。

ステップ3|苦痛をワクワクに変える:ドーパミン

心が整い、人とのつながりが戻ってくると、
ようやく意欲のスイッチが入ります。

ここで、冒頭の問いに対する脳科学的な答えがはっきりします。

仕事の目的は、成果ではなく『期待』を生み続けること。

ドーパミンが最も働くのは、達成の瞬間よりも、
「できるかもしれない」「次はうまくいきそうだ」という予測と期待です。

科学が示すドーパミンの出し方

・作業を5〜15分で終わるサイズに細分化する

・「できた」を毎日積み上げる

・失敗は「学習の信号」として扱う

・新しい刺激や知識を意図的に取り入れる

私は、苦痛を伴う努力をすすめません。
根性と気合で突き進む働き方は、時代遅れです。
「小さな達成」が続く設計こそ、現代の成果の出し方です。

順番を守れば、仕事はつらくなくなる

仕事の目的は、我慢でも消耗でもありません。

セロトニンで安定をつくり、オキシトシンで安心を育て、ドーパミンで未来への期待を生む。

この順番で脳を整えたとき、人は自然と前に進みます。
努力は積み重なり、成果は勝手に伸びていく。

もしあなたが今つらいなら、能力が足りないのではありません。
脳の順番が逆なだけです。

明日できることは、ひとつ。

・朝の光を浴びる
・5分だけ歩く
・誰かにひとこと感謝を伝える
・小さな「できた」を1つ作る

たったこれだけで、脳はあなたを前へ進ませ始めます。

この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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