【FPが警鐘】仲が良いほど「共同経営」はするな。9割が崩壊する「平等」という名の罠

「あいつとは学生時代からの親友だし、価値観も似ている。二人で力を合わせれば、1+1が3にも5にもなるはずだ」

今、あなたはそんな期待に胸を膨らませていませんか?あるいは、すでに走り出したものの、ふとした瞬間に「……何かがおかしい」と、喉の奥に小骨が刺さったような違和感を覚えてはいないでしょうか。

  • 「自分ばかりが実務をこなしている気がする」
  • 「あいつの経費の使い方が、どうしても納得いかない」
  • 「大事なことを決めたいのに、話し合いがいつも平行線で終わる」

もし、これらの一つでも心当たりがあるなら、この記事はまさに「今のあなた」のために書きました。

登録者数140万人超の大人気YouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」を運営する、税理士の菅原由一さんは、数多くの企業の倒産と、修復不可能な人間関係の崩壊を見てきた経験から、自身のチャンネルで「共同経営は絶対におすすめしない」と断言しています。

2026年、変化の激しい現代ビジネスにおいて、意思決定のスピードを殺し、責任の所在を曖昧にする「平等」という名の仕組みは、組織を内側から腐らせる猛毒でしかないからです。

なぜ、志を同じくしたはずのパートナーが、最後には裁判沙汰や絶縁という悲劇を迎えるのか。現場の最前線で収支と組織を統括している実務責任者の視点を交え、その構造的な欠陥を徹底的に解剖します。


理由1:実務責任者が直面する「見えない労力」の不一致

共同経営が破綻する最初のきっかけは、感情論ではなく「実務の偏り」という極めて現実的な問題から始まります。

会社を運営するには、売上を作る華やかな営業活動だけでなく、地味で泥臭い「管理実務」が大量に存在します。

  • 銀行口座の残高管理と資金繰り表の作成
  • 毎日の入金確認と経理システムへの入力
  • 従業員の給与計算と社会保険の手続き
  • 役所や税務署への煩雑な書類提出

これらは「やって当然」と思われる業務ですが、実際には膨大な時間と精神的エネルギーを消費します。そして、これらの実務は性質上、必ずどちらか一方に偏ります

菅原さんが指摘するように、現場で売上を作る側のパートナーは、こうしたバックオフィスの苦労を「座って計算しているだけ」と過小評価しがちです。

現場を指揮し、数字を支える実務のプロの視点から断言すれば、この「実務負担に対する認識のズレ」は、一度芽生えると二度と消えない不公平感へと成長します。利益を50:50で分けている以上、片方が「自分ばかりが実務を背負わされている」と感じた瞬間、信頼関係の崩壊はカウントダウンを始めるのです。

理由2:経費を巡る価値観の衝突と「疑心暗鬼」の罠

収入を完全に折半することは帳簿上で可能ですが、支出である「経費」を完全に一致させることは、物理的にも価値観的にも不可能です。ここに共同経営を壊す恐ろしい罠があります。

例えば、以下のような些細な違いを想像してみてください。

  • 一方は「効率重視」でタクシー移動を好むが、もう一方は「節約重視」で電車移動を徹底している。
  • 一方は最新のiPhoneを会社の経費で買い替えるが、もう一方は数年前のモデルを使い続けている。
  • 一方は会食を「投資」と捉えて豪華な店を選ぶが、もう一方は「無駄遣い」だと感じている。

共同経営において、相手が経費を使えば、それは会社全体の利益を減らし、ひいては「自分の取り分」を減らすことを意味します。そのため、お互いが相手の財布の中身を24時間監視するような牽制状態に陥ります。

菅原さんは、この1円単位の疑念が積み重なることで、かつて語り合った「夢」は「金に対する執着」へと変貌し、健全な経営判断すらも「お前のわがままだ」と一蹴される不毛な争いへと発展すると警告しています。2026年の今、経費の透明性が叫ばれる時代だからこそ、この価値観の相違はより顕著に組織を苦しめます。

理由3:意思決定のデッドロックが組織を殺す

組織運営において、最も致命的なのは「誰も決められない」状態です。
50:50の共同経営は、法的には「どちらかが反対すれば何も決まらない」というデッドロック状態を意味します。

変化の激しい現在、ビジネスはスピードが命です。

  • 「新しいAIシステムを導入して業務を効率化したい」
  • 「優秀な人材を確保するために給与体系を見直したい」
  • 「リスクを取って新規事業に投資したい」

現場の改善に必要だと確信している提案であっても、パートナーが「今は現状維持だ」と首を縦に振らなければ、会社は一歩も動けなくなります。

さらに恐ろしいのは、指揮命令系統が二つあることによる現場の混乱です。
二人のボスの顔色を伺い、指示の矛盾に戸惑う部下たちは、やがてどちらにも従わなくなり、自分の身を守ることだけを考えるようになります。リーダーシップが分散した組織は、外部環境の変化に対応できず、内部から自壊していくのです。


具体例:菅原さんが見た「血縁すら引き裂く」リアル

「自分たちは仲が良いから大丈夫だ」と考える人にこそ、菅原さんが語る実体験を知ってほしいと思います。

菅原さん自身、かつて実の父親と共に税理士法人を設立しましたが、経営方針を巡って3年にわたる壮絶な対立を経験しました。最終的には、菅原さんが社員を引き連れて独立するという、身を切るような「クーデター」という形で決着がついたのです。

30年以上生活を共にしてきた血縁関係、しかも専門家である税理士同士であっても、お金と経営権が絡めば修復不可能な亀裂が入ります。ましてや、数年の付き合いの友人関係であれば、その崩壊はより速く、より無慈悲に訪れます。

「仲が良い」という感情は、ビジネスの構造的な欠陥をカバーする盾にはなりません。むしろ、仲が良いからこそ、裏切られたと感じた時の憎しみは深くなるのです。

解決策:成功の絶対条件は「平等の放棄」である

もし、それでも共にビジネスを行いたいと考えるのであれば、真っ先に「平等」という幻想を放棄しなければなりません。
共同経営を成功させている稀な事例には、例外なく「明確な上下関係」が存在します。

菅原さんが推奨する、組織を守るための具体的な防衛策は以下の通りです。

  1. 株の比率を「67%対33%」以上にする
    50:50は絶対に避けてください。どちらかが「特別決議」を単独で通せる67%以上の株を持つことで、いざという時の最終決定権を確保します。
  2. 社長とNo.2という序列を公私ともに徹底する
    同級生であっても、会社の中では「代表」と「部下」です。この役割分担を曖昧にする「なあなあ」な関係が、組織のガバナンスを破壊します。
  3. 「雇用」または「業務委託」という形をとる
    友人を失いたくないのであれば、最初から「経営パートナー」ではなく、適正な報酬を払って「雇う」、あるいは対等な「外注先」として契約を結ぶべきです。これが最も健全に友情を維持できる方法です。

一人が全責任を負い、もう一人がそれをプロフェッショナルとして支える。この「一見不平等に見える明確な構造」こそが、役割分担を最適化し、不必要な対立を避ける唯一の道なのです。


まとめ:未来の自分と友人を助けるのは「今日の冷徹な判断」

資格取得や実務経験など、あなたはこれまで多くの努力を積み重ねてきたはずです。その大切なキャリアを、安易な「共同経営」という博打で台無しにしないでください。

資格は「過去の努力の証明」ですが、経営体制の構築は「未来のチャンスへの種まき」です。
収支を管理し、泥臭い現場を指揮している実務者の視点から見ても、菅原さんの言葉は真実です。事務、口座管理、権限……これらが曖昧なまま進む船は、必ず沈みます。

「会社という看板を外したとき、自分自身の名前で市場に何を提供できるか?」

その問いに対し、パートナーに依存することなく、自らの足で立つ覚悟を持ってください。
私のポッドキャストでは、現場責任者という立場から見た「組織の裏側」や「失敗しないためのリスクマネジメント」を、包み隠さず配信しています。完璧な理想論ではなく、不器用でも前進し続けるためのリアルな試行錯誤を、ぜひ聴きに来てください。

共に、一生モノの経営判断の筋肉を磨いていきましょう。

次のステップとして
この記事を読んで「今のパートナーシップに不安を感じた」という方は、まずは「もし意見が割れたらどうするか?」という最悪のシナリオを、相手と真剣に話し合ってみてください。その反応こそが、あなたの未来を占う指標になるはずです。

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