仕事はアンコントローラブルだから面白い|コンテンツ作りに役立つ「不安定」

アンコントローラブルが「楽しい」とは?

先日、ビジネス系のネットニュースで、WannaEat株式会社の社長のインタビュー記事を読み、思わず画面を止めて深く頷いてしまった。記事の核心はこうだ。「管理職はアンコントローラブルだから面白い」

自分一人の力でコントロールできる仕事は、結局のところ自分の能力の枠内に収まってしまう。しかし、他人が関わり、組織として動く「アンコントローラブル」な状況では、自らの想像や限界を超えた結果(化学反応)が生まれる。その予測不能な爆発力こそがマネジメントの醍醐味である、と彼女は説いていた。

今、世の中では「管理職は罰ゲーム」だという言葉が溢れている。なりたがる若者が減り、責任だけが増えて報酬が見合わない。そんな「タイパ」や「コスパ」の論理でいえば、思い通りにならない他人の感情や行動に振り回されることは、単なる非効率な重荷でしかないだろう。

しかし、私がこの記事に深い共感を覚えたのは、その「ままならなさ」こそが、仕事の、ひいては人生の最大の醍醐味だと確信しているからだ。

「ああでもない、こうでもない」と過ごす贅沢

人間が最も創造的になれるのは、想定外の事態に直面し「ああでもない、こうでもない」と頭を抱え、試行錯誤している瞬間だ。

もし仕事がすべてマニュアル化され、ボタン一つで期待通りの結果が出るものだとしたら、そこに私たちの介在価値はない。組織という場所は、論理だけでは動かない感情を持った人間の集まりだ。昨日の正解が今日には通用せず、善意で放った一言が思わぬ誤解を生む。会社はまさに「生き物」であり、一刻一秒として同じ状態に留まらない。

この予測不能な中に身を置き、どうにかして組織を前に進めるために知恵を絞ること。そのプロセスそのものを面白がってしまえ、という考え方。「線引き」や「問い」で挑み続け、結局は不完全なまま定年を迎える。そんな「未完成の美学」こそが、サラリーマンという生き方の本質ではないだろうか。

ネットビジネスもまた「継続」の峠道である

コンテンツビジネスの世界も、実はこれと全く同じだ。YouTubeやブログといった発信活動が長続きしない最大の理由は、それが「思い通りにならない」からだ。渾身の記事が誰にも読まれなかったり、予想外の反応に戸惑ったりする。

しかし、ネットビジネスの根幹は「継続」にある。そして継続を支えるのは、効率ではなく「うまくいかないから面白い」という感覚ではないだろうか。反応をコントロールしようとするのではなく、思い通りにならないからこそ「次はどうアプローチしようか」と試行錯誤する。この「不安定」を楽しめる感性こそが、発信を長く続けるための唯一のガソリンになるのだと思う。

50代で叶えた「大型バイク」という不安定

この「ままならなさ」の面白さを、私は身体感覚として知っている。趣味の大型バイクだ。実は高校生の頃は中型免許で400ccに乗っており、いつかは大型バイクにと憧れていたのだが、実際にその免許を手にしたのは50歳になってからだった。あえて大型にこだわったのは、その圧倒的な存在感と、それゆえの「扱いにくさ」に惹かれたからかもしれない。

バイクは、二輪しかない極めて不安定な乗り物だ。放っておけば倒れる。曲がるためには、全身を使ってあえてバランスを崩し、不安定な状態を自ら作り出さなければならない。初めて通る峠道、コーナリングしているときの高揚感。かと思えば、路面の状況にビビってヨタヨタと情けない走りになってしまうこともある。

「ああ、思い通りにならないな」
ヘルメットの中で苦笑いする瞬間が、たまらなく面白い。思い通りにならないからこそ、機械と対話する試行錯誤が生まれ、そこに自らの「意志」が宿る。これは組織運営も、コンテンツ作りも全く同じだ。

組織という峠道を、もがきながら走り抜ける

組織における人間関係でも、思い通りにならないことの連続だ。「あの人とは合わない」と言って辞めてしまった相手が異動になり、状況が変わることもある。あるいは「やりたい仕事じゃない」と不満を漏らす部下が、意外な適性を見せて表彰されることもある。

こうした「嬉しい誤算」は、すべてを自分でコントロールできる世界では決して味わえないものだ。若くして組織を避ける道もあろうが、思い通りにならない他者とぶつかり合い、ああでもないこうでもないとジタバタする経験をスキップしてしまうのは、非常に「もったいない」ことだと思う。

私の夢――「不安定」を価値に変える

私の夢は、定年後にコンテンツビジネスとして、この「不安定の乗りこなし方」を自らの仕事として発信していくことだ。

なぜ、アンコントローラブルな経験が発信に役立つのか。それは、今の世の中に「予定調和な成功法則」は溢れていても、「ままならない現実を面白がる視点」が圧倒的に不足しているからだ。

バイクやキャンプで学んだ「失敗を楽しむ、不安定を乗りこなすバランス感覚」。そして、会社員として味わい尽くした「思い通りにならない日々」。

これらを掛け合わせ、今まさに組織の中で「思い通りにならない」と嘆いている誰かに向けて、言葉を届けたい。

人生という長い長い峠道。
大切なのは、その不安定さを楽しみながら、前に進んで行くこと。ダメで元々じゃないですか。

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