導入:時を告げるだけでは稼げない時代
「副業を始めたいけれど、何からやればいいんだろう?」
「定年後に収入をどうやって得ればいいのか、漠然と不安だ」
そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。特に50代を迎えると、会社の看板や組織の肩書きがいつか消えることを意識せざるを得ません。いざ一人で稼ぐとなったとき、資格やスキルだけでは思ったように収入につながらないことに気づきます。
ここで思い出したいのが、ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』にある有名な言葉――「時を告げるのではなく、時計をつくる」。これは「一時的に正しい答えを出すリーダー」ではなく「正しい答えを出し続けられる仕組みをつくるリーダー」であれ、という意味です。
個人の働き方に置き換えれば、「単発の稼ぎ方」ではなく「仕組みとして続く稼ぎ方」をどう構築するか、という問いに直結します。
「時を告げる」働き方の限界
「時を告げる」働き方とは、言い換えれば一発勝負や短期的な稼ぎ方です。流行りの副業に飛びつくこともそうですし、アルバイトや単発の仕事で収入を得ることも含まれます。
もちろん一時的にお金は入ります。しかし問題は、その収入が「続かない」ということです。次にどう稼ぐのか、またゼロから探さなければならない。常に不安がつきまとい、心も落ち着きません。
さらに年齢を重ねると、体力や健康の制約が大きくなります。若い頃のように「気合いと徹夜」で補うことは難しくなり、動けないときに収入が途絶えるリスクも現実味を帯びてきます。
「時を告げる」だけの働き方は、50代以降のキャリアを支えるにはあまりに脆弱なのです。
「時計をつくる」とは何か?
では「時計をつくる」とは具体的にどういうことでしょうか。
コリンズが言うのは、「誰が答えを出すか」ではなく「答えを生み出す仕組みを持つかどうか」です。カリスマに依存する会社はその人がいなくなると衰退しますが、仕組みを持つ会社は人が変わっても存続します。
個人に置き換えると、「働き続けなければ収入がゼロになる」状態から、「自分が動かなくても一定の成果が残る」状態へと移行することです。
たとえば、ブログ記事や動画を積み重ねれば、過去のコンテンツが検索され続けて収入につながります。知識を講座にまとめて販売すれば、同じ労力で繰り返し成果を生むことができます。これが「時計=仕組み」をつくるということなのです。
学びを仕組みに変える重要性
多くの人が「学び」で止まってしまいます。本を読む、資格を取る、セミナーに参加する――これらはとても価値のある行為ですが、それを仕組みに変えなければ収入には直結しません。
学んだことをどう形にし、どう継続的に価値を生む仕組みに変えるか。そこに大きな壁があります。
私自身も例外ではありませんでした。ブログを始めようとしたものの、すぐに書くことがなくなり、一度は挫折しました。そのとき「資格を取ればネタになる」と思って簿記2級、FP2級を取得しました。勉強は達成感がありましたが、ブログは書けるようにならなかったのです。
この経験から学んだのは、「学びを仕組みに変えなければ意味がない」ということです。資格や知識はスタート地点にすぎず、それを発信やサービスに組み込んで初めて時計の歯車が回り出すのです。
よくある失敗とその理由
ここで「時計をつくる」過程で多くの人が陥る失敗を整理してみましょう。
- 完璧を目指しすぎて動けない
「きちんと準備してから始めよう」と思い続け、いつまでも形にならない。頭の中で理想を描きすぎて、最初の一歩が出せない。 - 自分が動かないと止まる稼ぎ方
アルバイトや単発の仕事に依存し、自分が手を止めた瞬間に収入もゼロになる。仕組みがないので、動けないときに途絶える。 - 学びが稼ぎにつながらない
資格を取っても、それをどう収益化するかを考えていない。結果、知識が積み上がってもお金にはならない。
私自身が挫折した経験もこの中に含まれます。だからこそ「時計をつくる」視点を持つことが大切だと痛感しているのです。
失敗を避けるための3つの工夫
ではどうすればこれらの失敗を避けられるのでしょうか。ここでは3つの工夫をご紹介します。
- 小さくても回る仕組みを持つ
最初から大きな時計をつくろうとせず、小さくても動く仕組みをまず持ちましょう。ブログなら「とにかく週1本書く」からでいいのです。 - 仕組みを改善し続ける
時計は作って終わりではなく、メンテナンスが必要です。同じく仕組みも、動かしながら改善していく。毎月振り返りをして、よりよい形にしていきましょう。 - 自分に合った仕組みを設計する
他人のやり方をコピーしても続きません。文章が得意なら文章、話すのが得意なら音声や動画。自分に合った方法で仕組みを作ることが、長続きの秘訣です。
50代から仕組みをつくる意義
若い頃は体力や勢いで「時を告げる」だけでも何とかなるかもしれません。けれど50代からは違います。健康や時間の制約があるからこそ、「時計=仕組み」を持つことがより重要になります。
仕組みをつくるとは、未来の自分を助けるための投資です。今日積み上げたブログ記事や教材が、来年も再来年もあなたを支えてくれる。これは労働収入とはまったく異なる安心感をもたらしてくれます。
定年後に「どう稼ぐか」と不安を抱えるより、いまのうちに仕組みをつくっておけば、未来の自分に感謝されるはずです。
まとめ:未来を動かすのは仕組みづくり
「時を告げる」働き方は一時的には収入になりますが、長続きしません。
「時計をつくる」働き方は時間も労力もかかりますが、未来に残ります。
学びを仕組みに変え、小さくても回る時計を持つこと。改善を続け、自分に合った方法を探すこと。これこそが50代からの「稼ぐ力」の本質です。
未来を変えるのは環境でも会社でもなく、あなた自身の仕組みづくり。今から始めれば、定年後の不安は確信に変わります。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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