なぜ「良いモノ」を作っても売れないのか?画家ドラクロワに学ぶ「視点」の魔法

毎日ブログを書き、スキルを磨き、時間をかけてコンテンツを作っている。
自分では「それなりに良いモノ」ができた手応えもある。

それなのに、なぜか反応がない。売れない。

もしあなたが今、そんな壁にぶつかっているなら。
原因は、努力不足でも、才能不足でもありません。

あなたはただ、「描く場所」を間違えているだけかもしれません。

結論から言います。
売れない人ほど、「手」を描こうとしすぎているのです。

「手を描くな、手のまわりを描け」

これは、19世紀フランス・ロマン主義を代表する画家、ウジェーヌ・ドラクロワが残したとされる言葉です。

一見、芸術論にしか見えないこの言葉には、個人がコンテンツビジネスの荒波で生き残るための、極めて実践的な真理が隠されています。

今日はこの言葉を、ビジネスの戦略に翻訳します。
あなたの努力を「自己満足」で終わらせず、「成果」に変えるための視点の話です。

なぜ、必死に描いた「手」は歪んでしまうのか?

絵の世界には、初心者が必ずつまずく不思議な現象があります。

人間の「手」は、描くのが非常に難しいモチーフです。
構造も分かっている。指の本数も知っている。それなのに、描くと歪む。

指が不自然に長い。関節の向きがおかしい。全体のバランスが取れない。

なぜか。

脳が「手とはこういうものだ」という思い込みを優先し、目の前の現実を見なくなるからです。

親指は太いはず。指は5本あるはず。
その「記号」を描こうとした瞬間、全体の関係性が崩れます。

結果、リアルでも美しくもない「それっぽい何か」が出来上がる。

ビジネスで起きている、まったく同じ現象

これは、あなたのビジネスでも同じです。

ここでの「手」とは、商品・コンテンツ・スキル・専門性のこと。

売れない人ほど、こう考えます。

  • もっと情報量を増やさなきゃ
  • もっと専門的にしなきゃ
  • もっと完成度を上げなきゃ

一見、正論です。
しかしこれは、爪の形やシワを必死に描き込んでいる状態と同じです。

作り手の満足度は上がる。
けれど見る側からすると、「何のための商品なのか」が分からなくなる。

ビジネス用語で言えば、典型的なプロダクトアウトです。

「良いモノを作れば売れる」
この信念が強いほど、市場というキャンバスの中で商品は浮き、誰の手にも取られなくなります。

ドラクロワの教えは「ネガティブ・スペース」だった

そこで、ドラクロワの言葉が効いてきます。

「手を描くな、手のまわりを描け」

美術には「ネガティブ・スペース」という考え方があります。

描きたい対象そのものではなく、その周囲にある「空白」を描く技法です。

指を描かない。
指と指の間の隙間を描く。

すると不思議なことに、中央に正確な「手」が浮かび上がってくる。

これをビジネスに置き換えると、こうなります。

  • 手=商品・スペック・言いたいこと
  • まわり=顧客の悩み・生活・置かれた状況

売れるかどうかを決めるのは、商品の完成度ではありません。
顧客の生活の中にある「空白」に合っているかどうかです。

あなたの商品の輪郭を浮かび上がらせる3つの視点

ここからは、考え方で終わらせないための実践パートです。

1. 「機能」ではなく、「使われる瞬間」を描く

顧客は、機能を買っているわけではありません。
「ある瞬間の自分を助けてくれるかどうか」で選んでいます。

休日の朝なのか。
仕事終わりの疲れ切った夜なのか。
誰にも弱音を吐けない時間なのか。

この「瞬間」が具体的になると、タイトルも語り口も自然に決まります。

2. 「強み」ではなく、「顧客が戦っている敵」を描く

顧客が最初に求めているのは、
「この人は、今の自分の苦しさを分かっているか」です。

文章術の敵は、下手なことではありません。
反応がない虚しさ。続けている自分への不安です。

敵を言語化できた瞬間、あなたは売り手ではなく味方になります。

3. 「正解」ではなく、「誰も触れていない隙間」を描く

正解は、すでに市場に溢れています。

だから個人は、描かれていない余白を見る。

成功後の不安。燃え尽き。孤独。
多くの人が触れない場所こそ、信頼が生まれる場所です。

結論:最高の「手」を描きたければ、手を見るな

商品を良くしようとする姿勢は、間違っていません。

しかし、価値は単体では存在しない。
必ず「背景」との関係で決まります。

もし今、頑張っているのに売れないなら。
一度、商品から目を離してください。

顧客は今、どこで、どんな気持ちで、何に困っているのか。

その空白をなぞったとき、
あなたが描くべき本当の価値が、はっきり浮かび上がります。

手を描くな。まわりを描け。

それが、ゼロイチを生む視点です。

この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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