2025年も終わりに近づいてきました。
この一年、あなたの発信や仕事のリズムはどうだったでしょうか。
私は最近、会社の「ファシリテーション研修」を受ける機会がありました。
会議の進め方を学ぶための研修ですが、そこには単なる会議術を超えた“本質”がありました。
ファシリテーター(facilitator)の直訳は「物事を容易にする人」。
意見を引き出し、整理し、合意形成に導く“進行の専門家”です。
会議の主役ではなく、チームの思考をスムーズに進める存在。
その研修中、ふと気づいたことがあります。
「これ、ひとりの思考にも使えるのでは?」
人間の頭の中には、いつも複数の人格がいます。
挑戦したい自分。
慎重に止める自分。
現実的に判断する自分。
この“脳内会議”がまとまらないと、何を書いても形にならず、手が止まります。
実際、今年は発信に悩んだ人が多かったはずです。
AIで文章は作れる。
画像も動画も作れる。
それなのに、「自分の言葉」が出てこない。
まとまらない。
進まない。
これはライティングスキルの問題ではありません。
脳内の意見が整理されておらず、思考が渋滞しているだけです。
そこで必要になるのが、
セルフ・ファシリテーション(自分の思考を導く技術) です。
2026年は、この力が発信者の明暗を分けると確信しました。
2025年の飽和を越えて。2026年は「導く力」の時代へ
2025年のコンテンツ市場は、情報があふれ、AI生成の文章が大量に流通していました。
“美しく整った文章”は簡単に手に入る時代です。
では、そんな時代に「わざわざ人が読む文章」の価値はどこに残るのか。
それは、
葛藤・視点・切り口・偏愛・体験
という、人間だけが持っている5つの要素です。
AIが出すのは「最も確からしい平均点」。
発信者が出せるのは「自分の人生から生まれる一回性の真実」。
2026年は、“うまい文章”ではなく、
自分の内側から答えを掘り起こせる人が勝つ年 になります。
その核心が、セルフ・ファシリテーションです。
セルフ・ファシリテーションとは何か?──脳内会議の司会になること
ファシリテーションは本来、複数人の会議を円滑に進めるための技術です。
しかしこの構造は、そのまま“自分ひとり”に応用できます。
頭の中には、
・挑戦したい自分
・慎重な自分
・現実的な自分
この三者が同時に存在しています。
記事を書こうとするとき、
「これ書きたい」
「でも読まれないかもしれない」
「もっと役に立つ内容を…」
「仕事が残っているし…」
と全員が同時に話し出し、議事進行が崩壊します。
この状態で前に進むのは不可能です。
そこで必要になるのが、
脳内会議の司会=セルフ・ファシリテーター
という発想です。
2026年流「自分ファシリテーター」の3つのステップ
セルフ・ファシリテーションは、次の3ステップで進めます。
1. 発散:批判を止める時間をつくる
「今は出すだけ」と決める。
くだらなくても矛盾していても、とにかく書き出す。
AIを壁打ちに使うのは有効だが、最後は必ず自分の感情を混ぜる。
2. 探索:問いを使って深める時間
ここが最も重要。
アイデアに問いを投げかける。
「なぜ、2026年の今これを書きたい?」
「それは誰かの受け売りでは?」
「自分の体験として語れる部分はどこ?」
この探索が、言葉の芯を作ります。
3. 収束:結局、何を伝えたいのかを一つに絞る
メッセージを一点に絞る。
不要な要素は思い切って削る。
“何を伝えたいか” が明確になった瞬間、文章は一気に強くなります。
セルフ・ファシリテーションがもたらす3つの変化
この技術が身につくと、発信は劇的に変わります。
一貫性が生まれ、ブランドが強くなる
自分の価値観が整理され、発信がブレなくなる。
結果として「この人の言葉は信頼できる」というブランドが積み上がる。
読者視点が自然と育つ
客観的に自分を見られるようになり、読者が迷子にならない文章になる。
独りよがりが消え、伝わる言葉に変わる。
スランプが消える
ネタ切れの正体は“考えがまとまっていないだけ”。
発散→探索→収束の型があれば、どんな日も一定品質の文章が作れる。
年末年始にやっておきたい「自分への問い」リスト
2026年を最高のスタートで迎えるために、今から自分自身に問いを投げてください。
STEP1:2025年を掘り起こす問い
今年、心が最も動いた瞬間は?
今年の発信で、反応が良かったものは?
逆に、言いたかったのに言えなかったことは?
STEP2:2026年のイメージを描く問い
来年の年末、自分はどうなっていたい?
そのために誰に、どんな言葉を届けたい?
AIが全部やってくれても、自分でやりたいことは?
STEP3:構成を決める問い
この記事を読んだ人に、どんな気持ちになってほしい?
そのために、最初と最後に何を置くべき?
AI時代のクリエイターは「思考の冒険者」であれ
テクノロジーはさらに進化し、表現のハードルは下がり続けます。
しかし、「何を表現するか」を決めるのは、いつだって人間の側です。
AI時代の最大の差別化は、派手な手法やテンプレではありません。
あなた自身の思考の深さです。
自分の内側に潜り、問い、整理し、言葉を磨く。
このプロセスを続ける人だけが、2026年の世界で「心を動かすコンテンツ」を作り続けます。
セルフ・ファシリテーションは、そのための武器です。
2026年を飛躍の年にするために、今日から“思考を導く練習”を始めてください。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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