自分の“適正な目標”を持つと、人生は静かに好転する
「今の自分、どこに向かっているんだろう?」
ふとした瞬間に、そんな問いが頭をよぎることはありませんか。
世の中には「目標を持て」と言う人がたくさんいます。
でも、目標があるはずなのに、なぜか満たされない。がんばっているのに、進んでいる実感がない。
それどころか、目標がプレッシャーに変わって、自分を責める材料になってしまうことさえあります。
最近、あるYouTubeで「幸せになった人の共通点」として、こう語られていました。
それは──**「自分の能力に相応しい適正な目標を持っていること」**。
この言葉がとても刺さりました。
私たちはいつの間にか、「目標=高い方がいい」「すごい人を目指すべき」と思い込んでいるのかもしれません。
でも、自分の能力やペースに合っていない目標は、むしろ苦しみの原因になります。
だからこそ今、大切なのは「そもそも自分の目標は“適正”なのか?」を見直してみることなのです。
「適正じゃない目標」は、むしろ不幸を引き寄せる
私たちはよく、「目標は高く持て」と言われて育ってきました。
努力、根性、限界突破──そんな言葉に憧れ、自分を奮い立たせることもあったでしょう。
でも、その「高すぎる目標」が、もし自分に合っていないとしたら?
実はその瞬間から、幸福感や充実感からどんどん遠ざかってしまう可能性があります。
社会学者の加藤諦三氏は、幸福な人の共通点としてこう語っています。
「自分の能力に相応しい、適正な目標を持っていること」
これは、裏を返せば「自分に合っていない目標」は不幸のもとになり得るということです。
たとえば、周囲の成功者と自分を比べて「自分もこれくらいやらなきゃ」と無理に設定した目標。
あるいは、「すごいと言われたい」「褒められたい」という外からの期待で決めた目標。
一見、前向きで意欲的に見えるかもしれませんが、内側ではずっと苦しんでいる状態かもしれません。
実際、こうした状態に陥ると「努力しているのに満たされない」という矛盾に悩まされます。
自分に課した目標が高すぎるあまり、いつも“できていない自分”を見つめることになり、自己否定感が積み上がっていく。
この状態は、社会心理学者のキャロル・ドゥエック氏のいう「fixed mindset(固定マインドセット)」にも近い構造です。
結果にばかりこだわることで、挑戦や失敗を避けてしまい、学びの機会も減ってしまうのです。
また、ラーニングゾーンの考え方で言えば、自分にとっての“適正な挑戦”の範囲を超えてしまうと、それは「パニックゾーン」になってしまう。
パニックゾーンでは、成長どころか不安や無力感が支配してしまいます。
その結果、ますます自信を失い、目標へのモチベーションも萎えていく──。
努力しても成果が出ない。
出てもなぜか満たされない。
それは、自分に合っていない「適正じゃない目標」を追いかけているサインかもしれません。
幸せに近づく「適正な目標」の見つけ方
では、「自分に合った適正な目標」とはどうすれば見つけられるのでしょうか。
それは突き詰めると、“背伸びはしているけれど、逃げ出したくなるほどではない”というバランスの中にあると私は考えています。
心理学でよく使われる「ラーニングゾーン理論」では、人の行動領域は3つに分けられます。
- コンフォートゾーン(快適領域):今のままでいられる場所。安心だが成長はない。
- ラーニングゾーン(学習領域):挑戦と成長のバランスがとれている領域。
- パニックゾーン(混乱領域):不安が強すぎて行動が止まってしまう領域。
適正な目標とは、この「ラーニングゾーン」にピタリと収まるもの。
ちょっと頑張れば届きそうで、続ければいつか手に入りそうな範囲にある目標です。
そのとき人は、挑戦しながらも心に余白を保てます。
焦りや不安ではなく、「できるかもしれない」という前向きな期待で前に進めるのです。
加藤諦三氏もまた、「適正な目標を持つ人は、過程そのものから満足を得ている」と述べています。
それは裏を返せば、結果だけを追い求める人ほど、今という時間に満足できていないということ。
だからこそ、自分の目標が適正かどうかは、以下のような問いかけで確認できます。
- 今、焦っていないか?
- 過程を楽しめているか?
- 今日やったことに、小さな満足があるか?
この問いに「はい」と答えられるなら、あなたは今、まさにラーニングゾーンの中にいます。
つまり、自分にとって“ちょうどいい挑戦”をしている証拠です。
「しんどさ」ではなく「手応え」を感じる目標へ
私自身、最近まで“高い目標”こそが正義だと思っていました。
でも、日々の行動がどこか「焦り」とセットになっていたことに気づいたのです。
たとえば、私は今「証券外務員一種」の資格取得に向けて勉強中です。
でも毎日ずっと続けられるほど、集中力もモチベーションも持ちません。
そんなときは、Pythonのプログラミングに切り替えます。
さらにそれも飽きたら、読書をする。
また資格の勉強に戻る。
気づけば1日中、知的活動に没頭している日もあります。
不思議ですよね。以前なら「飽きたら負け」と思っていたのに、今は「飽きたら別のスキルに切り替える」方が、結果的に前に進めているんです。
つまり、“今の自分のエネルギーに合った活動”を選ぶことで、疲弊せずに継続できている。
これが、まさに「適正な目標」の実感なのだと思います。
背伸びはしているけれど、どこかで手応えがあり、前に進んでいる感覚がある。
加藤諦三氏が言うように、「幸せになった人の共通点」の第一は“自分の能力に見合った適正な目標”を持っていること。
焦りがなく、過程から満足を得ている状態こそが、それを証明しています。
私は毎朝ランニングをしていますが、走る前に「今日は雨だし、やめようかな」と思う日もあります。
でも、靴を履いて外に出ると、結局5km走っています。
それは、**「やった方が自分にとって気持ちがいい」**という感覚があるから。
目標は「毎日走ること」ではなく、「今日も自分にOKを出せること」なのかもしれません。
高すぎる目標は人を萎縮させます。
逆に、自分にとって“ちょうどいい目標”は、やればやるほど「またやりたい」に変わります。
その感覚を持てるかどうかが、適正な目標とそうでないものの違いなのだと思います。
自分に“合った目標”は、心の静けさを生む
「もっと成長しなきゃ」「もっと上を目指さなきゃ」と思い込んで、自分のキャパシティを超えた目標に挑もうとしていないでしょうか。
もちろん、チャレンジは素晴らしいことです。
ですが、**“適正な目標”を持つことは、“甘え”ではなく“戦略”**なのです。
焦らず、でも止まらずに進めている人たちには共通点があります。
それは、「目標を手段ではなく、人生のリズムに組み込んでいる」ということ。
日々の中での手応えや充実感が、“継続”や“幸福感”につながっているのです。
加藤諦三氏の言葉を借りれば、
- 自分の能力に合った目標を持つ
- 楽観主義を大切にする
- 良い人間関係を築く
この3つの要素が、幸せに向かう共通点とのこと。
「適正な目標」を見極めるには、まずは次の3つの問いを立ててみてください。
- 今の目標は、“達成できる可能性”と“成長の余地”の両方を感じるか?
- 目標に向かう過程そのものに、喜びや納得感があるか?
- その目標が、あなたの価値観や生き方に“合っている”と感じるか?
これらに「はい」と答えられるなら、あなたの目標は“適正”です。
逆に「苦しい」「焦る」「心が折れそう」なら、それは修正のサインかもしれません。
“過程に満足できる人は、宝くじに当たった人より幸せ”
そんな研究結果があることも、この記事の最後に添えておきます。
焦らずに進める人は、自分に合ったペースを知っている人。
その一歩を、ぜひ今日から意識してみてください。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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