損・得・楽・情・縁――感情の順序を知らない情報発信は、届かない

情報発信を続けているのに、なぜか「読まれない」「反応が薄い」「ファンがつかない」と感じたことはありませんか?

「ちゃんと調べて書いたのに、なぜスルーされるのか」
「感情も込めて発信しているのに、なぜ共感されないのか」

その背景には、「読者の感情が動く順序」を無視した発信スタイルがあるかもしれません。
人の心は、ただ正しい情報を受け取ったからといって動くわけではありません。そこには、「損・得・楽・情・縁」という“感情の階段”が存在しているのです。


読者の感情の順序を無視すると、どんなに有益な情報も届かなくなります。
よくある失敗パターンを見てみましょう。

  • いきなり得だけをアピール:「これをやれば儲かります!」→ 「怪しい」と思われる
  • 楽だけを前面に出す:「3分でできます!」→ 「本当に?」と疑われる
  • 情だけで押す:「応援してください」→ 「押しつけがましい」と感じられる
  • 縁を最初に持ち出す:「一緒にやりましょう」→ 「あなた誰?」と距離を置かれる

このように、損・得・楽・情・縁の感情ステップを飛ばしてしまうと、発信の魅力は半減してしまうのです。


「損・得・楽・情・縁」という言葉は、誰か一人の思想家や学者が体系化したものではありません。
しかし、それぞれの概念は行動心理・経営哲学・マーケティングの実務の中で繰り返し使われてきた、人が行動する感情の構造です。

たとえば、稲盛和夫氏(京セラ創業者)は「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉を掲げ、「損得」や「楽な道」よりも、「情」や「縁」を重んじる利他的経営を貫きました。

また、船井幸雄氏は「人は損得ではなく好き嫌い(=情)で動く」と語り、感情こそが意思決定を左右することを見抜いていました。

さらには、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏が提唱した「損失回避バイアス」により、人は得よりも損を避けたがるという心理が実証されています。

このように、「損→得→楽→情→縁」は、単なる言葉遊びではなく、人が自然と踏む“感情の階段”なのです。


では、具体的に情報発信でこの構造をどう活かせばよいのでしょうか?
次の5段階で考えてみてください。

1. 損(不安への共感)

  • 「知らないと損します」「やってはいけない○○」など、問題提起から始めて読者の関心を引きつける

2. 得(読むメリット)

  • 「これで月3万円得した」「時短できた」など、ベネフィットを明確に伝える

3. 楽(ストレス軽減)

  • わかりやすい構成、シンプルな言葉、図解や見出しで「読むのが楽」を体感させる

4. 情(人柄の共有)

  • 自分の失敗談、悩んだ過去、価値観を語ることで、読者との距離を縮める

5. 縁(関係性の設計)

  • 「続きを知りたい方はこちら」「LINEで更新通知」など、次の接点を用意して関係を深める

この順番を守って設計された発信は、読者の心を自然に動かし、信頼へとつながっていきます。


「損・得・楽・情・縁」は、人の行動を導く感情の設計図です。
発信の軸をこの順番で整えるだけで、情報の届け方が劇的に変わります。

「これ、ちゃんと“損”から始まってるかな?」
「“得”や“楽”を明示できているかな?」
「“情”や“縁”を感じてもらえる仕掛けはあるかな?」

こう問いかけながら書いてみてください。
あなたの発信が、届くだけでなく、関係を生み出すものへと変わっていきます。


この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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