稀代の起業家、ソフトバンクの孫正義氏は、まだ何者でもなかった学生時代、ある「習慣」を自分に課していました。
それは、毎日たった5分間、「発明」について考えることです。
彼はそのトレーニングを通じて、何もないところから莫大な価値を生み出す「思考の型」を確立しました。この思考法こそが、後に世界を動かすソフトバンクグループの原動力となったのです。
今回は、孫氏が提唱する「3つの発明思考法」を、現代の最強ツールである「AI」に掛け合わせ、不可能と思われた業務課題を突破した、私の挑戦の記録をお届けします。
1. 孫正義氏が教えてくれた「発明」の3原則
孫氏が実践していた思考法は、驚くほどシンプルですが、極めて強力です。
- 不平不満は「宝の山」:
世の中の「不便・面倒・イライラ」こそが、ビジネスチャンスの鉱脈である。 - 常識の「逆」を突く:
「こうあるべき」という既存の枠組みを反転させ、誰もいないブルーオーシャンを探す。 - 組み合わせ法(新結合):
別々の要素を組み合わせることで新しい価値を作る。
これらは単なるアイデア出しのテクニックではありません。目の前の「負」を「利益」に変えるための、構造的な勝利の方程式なのです。
2. 現場に転がっていた「構造的課題」という宝の山
私はこの孫氏の教えを、自分の仕事に当てはめてみました。ターゲットにしたのは、社内で最も忌み嫌われていた「8つの部署から集まってくる収支報告の集計業務」です。
そこで直面したのは、まさに「不平不満」が凝縮されたような現場でした。
- メディアの分断:Excelとスプレッドシートが入り混じり、一括管理ができない。
- 項目の不一致:勘定科目でも部署によって異なり、膨大な名寄せ作業が発生。
- 複雑怪奇な「配賦」:コスト部門から各部門への費用配賦ロジックが職人芸。
これまでの常識なら、高額なシステムを導入するか、誰かが深夜まで手作業で転記するしかありませんでした。しかし、私はここで孫氏の「組み合わせ法」を実践しました。
「Excel + スプレッドシート + GAS + AI」
これらを新結合させることで、第三の道を切り開いたのです。
3. 「魔法のプロンプト」はいらない。必要なのは「対話」だった
構築にあたって私が活用したのは、ChatGPTやGeminiといったAIです。しかし、巷にあふれる「一発で解決する魔法のプロンプト」に頼ったわけではありません。実践したのは、AIをパートナーとして、泥臭く正解へ近づく「AIとの対話(バイブコーディング)」です。
目的を明確に伝えた上で、課題を一つずつクリアしていきました。
- タスクの細分化:「まずはバラバラのExcelファイルをスプシへ自動取り込みする機能から作ろう」と段階を踏む。
- 具体的な修正の反復:現場特有の例外処理に対し、「ここはこのように修正してほしい」と即座にフィードバックを繰り返す。
AIに丸投げするのではなく、自分の意思を伝え、AIと共に構造を練り上げる。この「試行錯誤」こそが、AIを自分の右腕にする唯一の方法でした。
4. 辿り着いた「司令塔スプレッドシート」という発明
この対話の果てに生まれたのが、「Excel・スプレッドシートの全てをGASで自動統括する『マスター・スプレッドシート』」という構造です。
各部署のファイルを直接いじるのではなく、中間に「翻訳機」としての役割を持つシートを配置。そこにGAS(Google Apps Script)を組み込むことで、Excelからのデータ吸引、科目の自動名寄せ、複雑な配賦計算を一気に通して「完成図」を出力する仕組みを構築しました。
この設計図こそが、孫氏の言う「新結合」によって生まれた、私だけの知的財産です。
5. 結論:この「格闘」の先に、自分だけのビジネスを作る
私が今回、この仕組みを作り上げた理由は、単なる作業の効率化だけではありません。私は今、このノウハウと格闘の日々を磨き上げ、定年後のコンテンツビジネスとして花開かせることを目標にしています。
もちろん、数年後にはAIもスプレッドシートも、今とは全く違う形に様変わりしているでしょう。だからこそ、今この瞬間の会社実務を「最高の実験場」として、以下の3つのサイクルを継続していきます。
- 不満の解消:現場で起きる「新たな不便」を逃さず、解決策を出し続ける。
- スキルのアップデート:変化し続けるAIやツールを、常に実務で使い倒す。
- 情報の発信:その試行錯誤のプロセスを包み隠さず発信し、スキルを磨く。
この「実務 × 最新技術 × 発信」の積み重ねが、将来、同じように悩む誰かを救うコンテンツビジネスになると信じています。
次のステップ:共に歩み始めましょう
まずは今日、あなたが仕事で感じた「面倒くさい」をメモすることから始めてみませんか?
特別な呪文はいりません。AIに「今、こんなことに困っているんだ」と語りかけ、共に構造を考える。その泥臭い一歩の積み重ねこそが、未来の自分を支える大きな資産になるはずです。
(あとがき)
この記事が、同じように定年後を見据えてスキルを磨いている方や、現場の業務改善に悩む方のヒントになれば幸いです。

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