いま、ビジネスパーソンの間で一つの大きな働き方の変化が起きています。
そのきっかけとなっているのが、「がんばる(義務感や恐怖)」よりも「ものごとを楽しむこと」を最優先にする生き方を提案した、あるビジネス書のヒットです。
多くの人がその思想に共感する一方で、日々のシビアな業務に追われる私たちは、ある現実にぶつかります。
「そうは言っても、そんな簡単に楽しめたら苦労しない。仕事で何も考えずに楽しんでやってみよう、なんて突っ走ったら、上司に怒られるのがオチだ」
そんな、真面目にがんばっているのに空回りしてしまう方や、プレッシャーで行動を起こせなくなっている方の問題を解決するために、新しい思考の道具を用意しました。
それが、現代の過酷なビジネス環境でも周囲との摩擦を避け、自分軸で動くための新ワード『SMRL(サムラル)』です。
乱立するアルファベット4文字の正体
現代のビジネス界は、時代や行動を定義しようとするアルファベットの言葉であふれています。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
・VUCA(ブーカ):変動性、不確実性、複雑性、曖昧性。「先が見えない時代」の定番ですが、頑張って計画を立てて対応しようというニュアンスが残る、少し古い言葉になりつつあります。
・BANI(バニ):もろい、不安な、非線形な、理解不能な。VUCAがさらに悪化し、昨日までの前提が突然崩壊する「そもそも考えても理解できない現代」を指す最旬ワードです。
・TUNA(ツナ):激動、不確実、斬新、曖昧。オックスフォード大学などが提唱した「これまでに見たこともない新しい難問が次々やってくる状態」を表す言葉です。
・OODA(ウーダループ):観察、情勢判断、意思決定、行動。元アメリカ空軍のパイロットが提唱した、戦場で瞬時に状況を判断して動くための超高速な思考法です。
・PDCA(ピーディーシーエー):計画、実行、評価、改善。お馴染みの管理手法ですが、最初の「P(計画)」に時間をかけすぎるため、変化の激しい現代では遅すぎると言われ始めています。
これだけ多くの言葉が乱立している理由は一つしかありません。最初から完璧な計画(Plan)を立てて進めることが、今の時代は不可能なのだと、誰もが気づいているからです。
新ワード『SMRL(サムラル)』とは
考えても分からない世界を、怒られずに、かつ自分のペースで突破するために生まれたのが『SMRL(サムラル)』という4文字のループです。
激動のビジネス現場を、軽快にサバイブしていく「侍(サムライ)」のような響きを持っていますが、中身は非常に論理的な行動指針です。
・【S】Small start(小さく始める)
100点満点の計画を捨て、15分・10%の出来で「下書き」を作る。
・【M】Mis-take(小刻みな問題発見)
大炎上する前にあえて小さなミスを拾い上げ、次に進むためのリアルなデータを回収する。
・【R】Re-think(クリティカルな再考)
他人の意見に流されず、動いたことで見つかった問題点をもとに、その場ですぐに自分の頭で考え直す。
・【L】Loop(ゲーム化された繰り返し)
このサイクルを、ゲームのレベル上げのように淡々と繰り返す。
現場の行動から降ってきた言葉
この『SMRL』という言葉は、世界の名だたる研究機関やコンサルティング会社が机の上で作った理論ではありません。他でもない、私がたった今、考えた言葉です。
話題のビジネス書を読み、楽しむことの大切さは理解できても、「仕事で勝手に突っ走ったら上司に怒られる。じゃあ、自分でどうできるのか?」という問いが残りました。
私は時間をかけて机の上で頭を悩ませたわけではありません。
そうではなく、私自身が「ちょっと考えては試し、違和感を見つけては、また考え直す」という小刻みな思考と行動をリアルタイムで繰り返しているうちに、ある瞬間、パズルのピースがパチリと噛み合うようにこの4文字が頭に浮かんだのです。
日本のビジネスパーソンが一番恐れているのは、失敗して周囲に迷惑をかけたり怒られたりすることです。それが行動のブレーキになっている。ならば、怒られないサイズで小刻みに動き、先回りして問題を潰していく、個人向けのアプローチが絶対に必要だと、自分の動きを通して確信しました。
俯瞰して見えてくるSMRLの本質
この言葉は、客観的に見ても極めてロジカルで時代に即した独自のポイントを持っています。
最大の特徴は、「失敗(Mistake)」の再定義です。従来のビジネスで失敗は避けるべき悪でしたが、SMRLにおける「Mis-take」は、ミスをあらかじめ小刻みに拾い上げる(Take)前向きなデータ回収のプロセスを指します。
また、ただ闇雲に動くのではない、現場のリアルな事実に基づいて「Re-think(再考)」を挟むため、地に足のついた軌道修正が可能になります。
「小さく始める(S)」も「考え直す(R)」も、すべて主語は自分です。他人軸のやらされ仕事を、自分の意思で動かすゲームへと強制変換する仕組みが、このループには内蔵されています。
今の時代に合う、個人のための実践的な言葉は、実は世界のどこを探してもありませんでした。SMRLは、その空白を埋める新しい思想です。
状況のレシピを自分で決める
世界はこれからも、私たちを不安にさせる新しい流行語を作り出し続けるでしょう。しかし、そんな言葉に怯える必要はありません。どんなに世界が予測不能になろうとも、私たちがコントロールできるのは、いつだって「目の前にある、次の一歩のサイズだけ」だからです。
まずは今日の仕事から、時計の針を15分だけ測って動いてみてください。
完璧な計画書を広げて立ちすくむのをやめて、まずは15分だけ形にしてみる。そこで見つかった小さな問題を修正しながら、自分の頭で即座にやり方を書き換える。
この『SMRL(サムラル)』のノートを1ページめくるように、まずは明日、最初の「S」を踏み出してみませんか。

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