なぜ新しい挑戦はすぐに止まってしまうのか
新しいことを始めようとしたとき、やる気はあってもなぜか体が動かない。
そんな経験はありませんか?
これは意志の弱さではなく、脳の自然な仕組みが働いているからです。
脳にとって「未知の環境」は危険そのもの。
新しい土地に足を踏み入れることは、昔なら命の危険に直結していました。
その名残が今も無意識の中に残っているのです。
脳は安全を第一に考えるため、現状を維持しようとする力=ホメオスタシスが働きます。
たとえば「毎日ランニングを始めよう」と決めても、翌朝には
「今日は寒いし、明日からでもいい」と止めに入る。
これが脳の防衛反応です。
一見すると自分に甘いだけのようですが、実際は「新しいことをすると死ぬかもしれない」という古いプログラムが作動しているのです。
だからこそ「変わりたい」と願ったときには、まずこの無意識の力を理解することが第一歩になります。
根性論ではなく、仕組みで動く
ここで多くの人がやってしまうのが「気合いで頑張ろう」という根性論です。
確かに一時的にはモチベーションが高まり、行動につながります。
しかし人間のエネルギーは有限であり、気合いに頼るやり方は長続きしません。
だからこそ大切なのは「仕組み」を作ることです。
例えば、家に帰ったら机の上に教材が置いてある状態をつくる。
朝起きたらスマホではなくランニングウェアが目に入るようにしておく。
このように「やらざるをえない環境」を設定すれば、無意識の抵抗を最小限にして行動を続けられます。
心理学者ベンジャミン・ハーディは著書『FULL POWER』で次のように述べています。
「意志力とは筋肉のようなものだ。有限なリソースであり、使えば消耗していく。」
だからこそ、行動を持続させるには「意志力に頼らず、環境をデザインすること」が重要だと説いています。
例えば、やりたいことを「やらざるをえない行動」に変える“強制機能”を活用する。
勉強するなら机の上に教材だけを置く、スマホは別の部屋に置く、期日を公言して逃げ道をなくす――。
こうした環境設計によって、無意識は抵抗する余地を失い、自然に行動が積み重なっていくのです。
つまり「自分を変える」とは、自分を奮い立たせることではなく、
やらざるをえない状態をデザインすること。
根性論から仕組み論へのシフトが、変化を持続させるカギになります。
3つの理論が共通して伝えていること
無意識を活用する考え方は、古典から現代まで繰り返し語られてきました。
まず、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』。
彼は「明確な目的と信念を持ち続ければ、それが潜在意識に刷り込まれ、現実を変える」と説きました。
これは90年前に書かれた本ですが、現代の脳科学で説明できる部分も多いのです。
次に、心理学者キャロル・デュエックの「マインドセット理論」。
人は「能力は固定的」と考えると挑戦を避け、「能力は伸ばせる」と信じると行動が変わります。
教育現場で数多くの実験が行われ、成長マインドセットを持つ学生ほど粘り強く学び続けることが確認されています。
そして現代のインフルエンサー、クラーク・ケグリー。
彼は「Identity Shifting(アイデンティティの切り替え)」を提唱します。
「挑戦できない自分」から「挑戦を楽しむ自分」へ、
「怠けやすい自分」から「継続できる自分」へと、
自分像そのものを変えれば行動は自然に変わるという考え方です。
3人に共通しているのは、行動の前に「無意識レベルの信念やアイデンティティ」を変えることの大切さ。
つまり、変わらないのは意志が弱いからではなく、無意識の設定が変わっていないからなのです。
無意識の仕組みとフィルターの力
ここで登場するのが脳の「フィルター機能」です。
私たちは日常で数百万の情報を浴びていますが、そのすべてを意識できません。
そこで無意識は、自分にとって重要な情報だけを選び出してくれます。
たとえば「赤い車を買いたい」と思った瞬間、街中で赤い車ばかりが目に入るようになる。
これが心理学で言う「カラーバス効果」であり、脳科学では「RAS(網様体賦活系)」の働きとされています。
つまり「私は続けられない人だ」と思えば、その証拠ばかりが目に入るようになります。
逆に「私は学びを楽しむ人だ」と信じれば、学びの機会や小さな進歩が目に飛び込んでくる。
セルフイメージは無意識を通して現実を形づくっているのです。
無意識を変えずに努力だけを積み重ねても、フィルターは「できない証拠」を集めてしまう。
だからまず「どんな自分として生きるか」を選び直すことが、現実を変える近道なのです。
ラーニングゾーンに入るための小さな挑戦
ここで注意したいのが「目標設定の大きさ」です。
あまりに高い目標を掲げると「できない自分」にフォーカスが集まり、パニックゾーンに入ってしまいます。
逆に低すぎる目標では安心できますが、成長はありません。
理想は「ラーニングゾーン」。
少し緊張するけど手を伸ばせば届く挑戦です。
例えば「毎日30分走る」と決めると続かない人でも、
「まずは靴を履いて外に出る」なら続けやすい。
これを繰り返すことで自然に距離が伸び、気づけばランニング習慣になっていきます。
私自身も資格勉強でこの方法を使いました。
最初からテキスト1章をやろうとすると挫折しますが、
「今日は1問だけ解く」と決めれば続けられる。
FP2級の勉強もこの積み重ねで合格できました。
大切なのは「私は努力できる人」ではなく、
「私は学びを楽しむ人」という自分像を選んだこと。
それが行動を支える無意識の力を呼び覚ましてくれたのです。
今日からできる一歩
自分を変えたいとき、必要なのは行動量ではなく「自分の物語」を変えることです。
今日からできるシンプルな一歩は、自分に向けて「私は〇〇な人だ」と一文書いてみること。
たとえば「私は挑戦を楽しむ人だ」「私は継続できる人だ」。
たった一文ですが、これが無意識のフィルターを変えるスイッチになります。
ここで意識してほしいのは、「自信を持とう」と力む必要はないということ。
自分像を変えれば、自信は自然と副産物のようについてくるのです。
ナポレオン・ヒルは「思考が現実をつくる」と言いました。
キャロル・デュエックは「成長を信じる心が力を生む」と示しました。
クラーク・ケグリーは「自分像を切り替えれば行動は変わる」と語ります。
すべてに共通するのは「無意識をどう使うか」。
その答えは、あなたの中にすでにあります。
あとは小さな一歩を踏み出すだけです。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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