なぜ日本人は“自分を信じる”のが苦手なのか?|心理学が示す「信じる力」の鍛え方
「自分をもっと信じなよ」——そう言われても、どこか他人事のように感じてしまう。
あなたも、そんなふうに思ったことはありませんか?
実は日本人は、世界的に見ても「自己評価が低い」と言われています。内閣府の調査によれば、「自分に満足している」と答える若者の割合は、アメリカやドイツ、韓国などと比べても極めて低いのが現状です。
なぜ、これほどまでに“自信を持つこと”が難しいのでしょうか?
それは、心理学と文化の両面から読み解くことで、少しずつ見えてきます。
“目立たないこと”が正解だった時代の名残
日本には、長らく「和をもって尊しとなす」という文化が根付いてきました。
それはつまり、空気を読むこと、周囲に合わせること、自己主張を控えることが美徳とされていたということです。顔の見える村社会の中で、浮きすぎず、出しゃばらず、うまくやっていく——これが、生きる知恵でもあったのです。
しかしその反面、「自分はこう思う」「自分ならできる」という“自分軸”の表明は抑制されやすくなりました。
学校でも、「手を挙げて発言する人=空気を読まない人」と見られがち。社会に出ても、「前に出る人=出しゃばり」と評価されることもある。こうした空気の中では、「自分を信じる力」は育ちにくいのです。
実は“信じるだけ”で変わる現実がある
では、逆に「自分にはできる」と信じている人は、実際に結果を出しやすいのでしょうか?
答えは「YES」です。
心理学の実験では、自分の能力を信じて取り組んだ被験者の方が、そうでない人に比べて高い成果を上げることが多く報告されています。
たとえば有名な研究に、ある薬を与えられたと信じて体調が改善する「プラシーボ効果」があります。実際にはただのビタミン剤や砂糖玉でも、「効く」と信じたことで、本当に身体的な改善が見られるのです。
これは病気に限らず、メンタルや行動にも応用がききます。
「自分ならできる」と信じて試験に挑む受験生と、「どうせ無理」と思いながら受ける受験生。どちらが本来の力を発揮しやすいかは、明らかでしょう。
信じる力を鍛える3つの方法
ここで、信じる力を科学的に鍛える3つの概念をご紹介しましょう。
それが、
- アファメーション(自己肯定の言葉)
- プラシーボ的な信念の活用
- エフィカシー(自己効力感)
です。
まず、アファメーションとは「私はできる」「私は価値ある存在だ」といった、ポジティブな言葉を自分に言い聞かせる方法です。一種の“自己暗示”ですが、繰り返すことで脳がそれを事実と捉え始め、行動や感情に変化が現れます。
次に、プラシーボ。これは「信じたことが現実に影響を及ぼす」という心理的メカニズム。日常でも、「この服を着ると元気になる」「このルーティンで集中できる」など、根拠は薄くとも信じることでパフォーマンスが上がることがあります。
そして、エフィカシー。これは「自分はこの目標を達成できる」と思える感覚のこと。アメリカの心理学者バンデューラによって提唱され、やる気や粘り強さ、困難への挑戦意欲といった“行動の源”になるとされています。
この3つを組み合わせることで、「信じる力」は日々鍛えていくことができるのです。
文化を超えて、“信じる力”を取り戻す時代へ
日本的な空気の中で育った私たちは、つい自分の可能性にブレーキをかけてしまいがちです。
でも、それは「育ち方の影響」であって、「本来の限界」ではありません。
今はむしろ、自分の強みを打ち出す人、発信する人、自分の軸を持って動ける人のほうが、時代に合っています。自己主張が苦手なら、まずは“自分を信じる習慣”から始めてみませんか?
アファメーションをつぶやき、プラシーボを信じ、少しずつエフィカシーを育てる——それは、外の評価に振り回されずに生きるための、強くてしなやかな基盤になるはずです。
この記事を書いた人|ミライジュウ
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