「真面目に生きてきたはずなのに、なぜか未来が不安だ」
「定年後に向けて発信を始めたが、義務感ばかりで面白くない」
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたの能力のせいではありません。
私たちが長年、社会から刷り込まれてきた「真面目さ」という呪縛が、あなたの創造性を縛り付けているからです。
現役の業務部長として組織を率い、同時に定年後のコンテンツビジネスを模索する中で、私は一人の思想家に出会いました。
20世紀オランダの歴史家、ヨハン・ホイジンガです。
彼の著書『ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』は、現代社会が忘れてしまった「生きるための根源的な力」を突きつけてきます。
今回は、ホイジンガの思想を軸に、50代の私たちが定年後に自分の力で稼ぐために必要な「遊びの復権」について深く掘り下げていきます。
ホモ・ルーデンス――人間を定義するのは「知性」ではなく「遊び」である
ホイジンガは、人間を「ホモ・サピエンス(賢い人)」としてではなく、「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」として定義しました。
彼は、法律、科学、宗教、さらには裁判や戦争といった文化のあらゆる根源に「遊び」が存在すると説きました。
例えば、火の発見や調理技術の誕生を想像してみてください。
「魚を火の中に放り込んだらどうなるだろう?」という、実利とは無関係な好奇心や「ふざけた試み」こそが、人類の文明を前進させてきたのです。
もし当時の長老が「食べ物を粗末にするな、真面目にやれ」と叱りつけていたら、私たちは今も生魚を食べていたかもしれません。
コンテンツビジネスも同じです。
市場調査に基づいた「正解」や、誰かの二番煎じの「役立つ情報」という、真面目すぎる発信は、レッドオーシャンの中で埋もれてしまいます。
文化の源泉が遊びであったように、独自のビジネスもまた、あなたの「これ、面白そうだな」という遊び心からしか生まれないのです。
「意味」を求めた瞬間に、ビジネスの芽は死ぬ
ホイジンガの教えの中で最も衝撃的なのは、「遊びはそれ自体が目的でなければならず、外部の目的が与えられた瞬間に死ぬ」という点です。
私たちは何かを始める際、つい「これは収益に繋がるか?」「老後の備えとして役に立つか?」という「意味」を求めてしまいます。
しかし、稼ぐことを唯一の目的にした瞬間、あなたの発信は「楽しい遊び」から「苦痛な労働」へと変質します。
目的のために手段として書かれた言葉には、読者を惹きつける熱量が宿りません。
逆に、自分が楽しくて仕方がない、時間を忘れて没頭している「遊び」の状態から溢れ出たコンテンツは、不思議と他人の心を動かし、結果として収益を連れてきます。
「収益のために書く」のではなく、「遊んだ結果として収益がついてくる」。
この逆転の発想こそが、50代からのビジネスを長続きさせる唯一の道なのです。
業務部長の私が実践する「マジック・サークル」の活用法
私は現在、業務部長という立場で、役員と現場の板挟みになりながら組織運営を行っています。
そこで注力しているのが、社内に「心理的安全性」を確保することです。
これをホイジンガの言葉で言い換えるなら、組織の中に「マジック・サークル(魔法の輪)」を作ることになります。
マジック・サークルとは、日常の利害や評価から切り離された、遊びのための聖域です。
私は会議の冒頭で、「ここでは何を言っても評価に響かない。あえて『もしこうなったら面白い』という仮定で議論しよう」と宣言することがあります。
この「遊びの境界線」を引くことで、部下からは自由な意見が上がり、役員に対しても建設的な直言が可能になります。
失敗が「現実のダメージ」にならない遊びの空間だからこそ、人間は最高のパフォーマンスを発揮できるのです。
これから個人ビジネスを始めるあなたも、自分のブログやSNSを「人生のマジック・サークル」だと定義してください。
ここは、会社の肩書きも評価も関係ない、あなたの実験場です。
「失敗しても、それはゲームオーバーではなく、次のプレイへのヒントに過ぎない」。
そう思えた時、あなたの発信は驚くほど大胆で魅力的なものに変わります。
19世紀の呪縛――「効率」という神様からの脱却
なぜ私たちは、これほどまでに遊びを忘れてしまったのでしょうか。
ホイジンガは、19世紀の産業革命が大きな転換点だったと指摘します。
大量生産・大量消費の時代、社会は「規律正しく、効率的に動く労働者」を求めました。
その結果、「役に立つかどうか」が全ての基準となる功利主義が蔓延し、遊びは「非生産的な無駄」として排除されたのです。
定年を控えた50代の私たちは、その「真面目さの教育」を最も色濃く受けてきた世代です。
しかし、定年後の世界に工場の規律は必要ありません。
むしろ、効率だけを追い求めてきた「真面目人間」ほど、自由な時間ができた時に何をすればいいか分からず、不寛容で攻撃的になってしまうリスクがあります。
SNSで見られる過剰な非難や炎上は、心に遊び(余白)を失った大人たちの末路です。
他人の失敗を許せないのは、自分自身が「真面目さ」という檻に閉じ込められているからに他なりません。
子供の心を取り戻し、ビジネスを「再定義」する
定年後にコンテンツビジネスで成功するために必要なのは、最新のマーケティング手法を学ぶことではありません。
それよりも先に、子供のような「純粋な遊びの精神」を取り戻すことです。
子供は、誰かに頼まれたわけでもなく、将来の役に立つからでもなく、ただ「今、これがやりたいから」という理由だけで砂場に城を作ります。
その没頭こそが、真の創造性の正体です。
50代からのビジネスは、これまでの「義務」や「責任」としての仕事ではなく、「自分という人間を表現する遊び」として再定義しましょう。
あなたが楽しみ、熱中し、試行錯誤する姿そのものが、同じ世代を生きる人々にとっての最高のコンテンツになります。
ホイジンガはこう警鐘を鳴らしました。
「真面目が尊いものだと勘違いし、遊びを軽視すれば、文化はどんどん貧しくなる」と。
私たちの人生も同じです。
真面目一辺倒で塗り固められた定年後の人生は、あまりに色彩を欠いたものになってしまいます。
遊びこそが、あなたを自由にする
最後にもう一度、自分自身に問いかけてみてください。
「今日、私は『役に立つかどうか』を忘れて、何かに没頭できただろうか?」
もし答えがノーなら、今すぐ小さな「遊び」から始めてください。
収益化のノウハウを調べる前に、自分が無条件にワクワクすることを一記事書いてみる。
役職や立場を脱ぎ捨てて、一人の「遊ぶ人」に戻る瞬間を作ってください。
ビジネスを遊びに変えることができた時、あなたは「定年後の不安」という現実の檻から解き放たれ、本当の意味で自由な、そして豊かな人生の第二幕を始めることができるはずです。
遊び心を取り戻したあなたの言葉は、きっと誰かの心に届き、結果としてあなたに新しい豊かさをもたらしてくれるでしょう。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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