「もっと準備が整ってから発信しよう」
「この内容ではまだ不十分だ。100%納得いくまで公開できない」
「業界のプロと比べて、自分のコンテンツはあまりに未熟すぎる」
個人でコンテンツビジネスを志す人が、必ず一度はぶつかる壁があります。
それは、「完璧主義」という名のブレーキです。
真面目で、責任感が強く、仕事を投げ出した経験がない人ほど、このブレーキは強力になります。
特に50代。会社人生で「失敗しないこと」を評価され続けてきた人ほど、この罠に深くはまります。
しかし、その完璧主義の正体が、論理学でいうところの「ニルヴァーナの誤謬(Nirvana Fallacy)」であることに、気づいている人は多くありません。
この記事では、あなたのビジネスを静かに殺していくこの誤謬の正体を解剖し、
なぜ「60%の完成度」で動ける人だけが、ゼロからイチを生み出せるのか。
その理由と具体的な突破法を、はっきり言語化します。
ニルヴァーナの誤謬とは何か?
「ニルヴァーナ(涅槃)」とは、仏教用語で、
一切の悩みや苦しみから解放された「究極の悟りの境地」を指します。
転じて、論理学や経済学の世界では、
「現実には存在し得ない、非現実的なまでに完璧な理想状態」
という意味で使われます。
1969年、経済学者ハロルド・デムゼッツが提唱した
「ニルヴァーナの誤謬」とは、非常にシンプルな思考ミスです。
「現実的な選択肢」を、「完璧な理想」と比較し、
不完全であることを理由に却下してしまうこと。
たとえば、
「自動運転は事故をゼロにできないから導入すべきではない」
という主張。
これは、「人間が運転するより圧倒的に事故が少ない」という現実的比較を無視し、
「事故ゼロ」という幻想と比べてしまっています。
この思考は一見、慎重で賢そうに見えます。
しかし実態は、現実から目を背けるための論理です。
そして、この誤謬は個人のコンテンツビジネスにおいて、
最も致命的な「行動停止装置」として機能します。
コンテンツビジネスを破壊する「完璧主義の罠」
ニルヴァーナの誤謬は、個人ビジネスの現場では、
もっと身近で、もっと厄介な形で現れます。
「プロとの比較」という絶望
「あの有名インフルエンサーのような完成度じゃないから、自分には価値がない」
これは、今の自分を、
何年も積み上げ、チームと資金を使って完成したプロの姿と比べている状態です。
冷静に考えれば分かります。
比較対象そのものが間違っています。
初心者が、プロの完成形を基準に動けなくなる。
これほど無意味で、残酷な自己評価はありません。
「準備ができたら」という永遠の先延ばし
「もう少し知識をつけてから」
「機材を揃えてから」
「自信が持てるようになってから」
この「いつか」は、永遠にやってきません。
なぜなら、あなたが待っているのは、
存在しない“完璧に準備が整った自分”だからです。
「100%完成」への執着
公開直前で何度も書き直し、
「まだ足りない」と感じて、結局お蔵入り。
これは誠実さではありません。
価値提供の放棄です。
なぜ「60%の完成度」が最強なのか
ビジネスで結果を出すのは、完璧主義者ではありません。
完了主義者です。
「60%で出せ」という言葉は、精神論ではありません。
極めて合理的な戦略です。
価値を決めるのは市場
自分の中で100%だと思ったものが、全く響かないことは普通にあります。
逆に、60%で出したものが刺さることもある。
コンテンツの価値は、
市場に触れた瞬間にしか決まらないのです。
スピードは信頼になる
悩んでいる人にとって、
1ヶ月後の100点より、今日届く60点の方が価値があります。
情報は、鮮度が信頼を生みます。
コンテンツは育てるもの
デジタルコンテンツは彫刻ではありません。
粘土です。
出して、反応を見て、直す。
これが最も安全で、勝率の高い進み方です。
今日から動くための3つの指針
MVPを定義する
完璧な商品を作る必要はありません。
まずは、誰か一人の悩みを軽くするコンテンツで十分です。
反省点は次のネタ
「足りなかった」は、失敗ではありません。
次の発信テーマです。
比較対象を変える
プロではなく、今困っている読者を見る。
あなたの60%は、誰かにとっての100%になります。
結論|最善は、善の敵である
直したい点が無数に見えるのは、成長している証拠です。
しかし、その欲のために、
今助けられる誰かを置き去りにする必要はありません。
Done is better than perfect。
その60%の原稿を、世に出してください。
本当のビジネスは、そこから始まります。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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