50代になると、自分の価値に迷う瞬間があります。
長年の経験が「古い」と言われ、
若い世代のスピードに戸惑う。
このまま会社を離れたら、自分には何が残るのだろう──
そんな不安を抱えている人も多いでしょう。
けれど、過去の中にはまだ眠っている力があります。
誰にも注目されず、見過ごされてきたもの。
それを見つけ出す視点こそ、リフレーミングです。
“使えない経験”を、違う文脈で見直す
リフレーミングとは、見方を変えること。
失敗を「挫折」と呼ぶか、「データ」と呼ぶか。
同じ出来事でも、意味はまったく変わります。
たとえば、部下との雑談が得意な人。
それは単なるおしゃべりではありません。
人を安心させる力であり、信頼をつくるスキルです。
仕事の現場で“無駄”と思われた経験ほど、
別の場所では“武器”になる。
意味を変えるだけで、過去は再び息を吹き返します。
ノーベル賞に見る「無用の用」
2025年、京都大学の北川進教授がノーベル化学賞を受賞しました。
彼が会見で口にした言葉は、「無用の用」。
荘子の教えです。
一見、役に立たないと思われるものの中にこそ、
真の価値があるという思想です。
北川教授は、誰にも理解されにくい基礎研究を続けました。
すぐに結果は出ない。
けれど、やめなかった。
その積み重ねが、いま世界の技術を支える発見につながっています。
「無用」と言われたものを、「用」に変える。
それは時間が育てるリフレーミングです。
寿司ロボットを生んだ“視点の転換”
20年前、私はラジオ番組の取材で、
音響機器メーカーのオーディオテクニカを訪ねました。
目的は──寿司ロボット。
マイクでもイヤホンでもない。
回転するシャリ成形機でした。
社内に危機感があったと聞きます。
アナログの時代が終わり、
レコードプレーヤーの需要が落ち込みはじめた頃です。
「回転盤の技術をほかに使えないか」
そんな発想から生まれたのが、家庭用の寿司ロボット「にぎりっこ」。
やがて業務用へと発展し、いまでは世界中の寿司店で稼働しています。
音を再生する技術が、食を支える技術に変わった。
これはまさに、企業のリフレーミングです。
技術は同じでも、文脈を変えた瞬間に“価値”が生まれた。
それは、誰にでもできる発想の転換です。
リフレーミングは、積み重ねた知識の上に咲く
リフレーミングは、空っぽのところからは生まれません。
北川教授の研究も、寿司ロボットも、
長年の技術や知識があったからこそ見方を変えられた。
学び続けることは、未来の選択肢を増やすことです。
本を読み、資格を取り、考えを記録する。
それらがつながる日が、必ず来ます。
その瞬間に、「あの経験は無駄じゃなかった」と気づくのです。
リフレーミングは、知識の上に咲く花。
何もないところでは育たない。
だから、学びをやめない人ほど強い。
“無用の用”を生きるということ
50代からの人生は、速さよりも深さを選ぶ時間です。
使い道がわからない経験こそ、
これからのあなたを支える素材になります。
無用の用とは、過去を捨てずに磨き直す哲学。
リフレーミングとは、その哲学を実践に変える技術です。
学びを積み重ね、意味を変えながら前へ進む。
その姿こそ、次の時代に残る力ではないでしょうか。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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