50代から稼ぐ言葉の作り方|信頼を資産化する「トゥールミンロジック」

「一生懸命書いているのに、なぜか説得力がない」
「自分の意見に自信が持てず、結局どこかで聞いたような正論を並べてしまう」

もしあなたが今、パソコンの前でそんな閉塞感を感じているなら。
それは才能の不足ではありません。
ただ“思考の型”を知らないだけです。

会社員として長く働いてきた私たちは、「上司が納得する材料」を探す訓練はしてきました。
会議資料、稟議書、報告書。
つまり「組織の看板を背負った状態での説得」は慣れている。

ところが、いざ個人として旗を立て、自分の言葉で誰かを動かそうとした瞬間、足元がぐらつく。
なぜか。

主張を支える「論理の背骨」が、いつの間にか組織の権威に依存していたからです。
看板が外れた途端、言葉が軽くなる。
これはあなたの弱さではなく、構造の問題です。

そこで役に立つのが、イギリスの哲学者スティーヴン・トゥールミンが提唱した「トゥールミンロジック」です。
これを発信に組み込むと、文章が「単なる感想」から「信頼される資産」に変わり始めます。

思考停止の心地よい罠

人間の脳は、便利な反面、とてもズルい。
楽な方へ、スッと滑ります。

たとえば、SNSでよく見るテンプレ結論。
「副業は大事」「行動がすべて」「継続が勝つ」
全部、だいたい正しい。けれど、正しいだけで人は動きません。

なぜなら、読者はあなたに「正しさ」ではなく、“納得できる根拠”と“信用できる人柄”を求めているからです。
正論は無料で手に入る。
でも、納得は簡単に手に入らない。

説得力がない文章の正体は、センス不足ではなく、ほぼ確実にここです。
「事実と結論の間」が抜けている

この“間”を埋めるのが、トゥールミンロジックの役目です。

1958年、実戦のために生まれた「型」

トゥールミンロジックは、1958年にスティーヴン・トゥールミンが著書『論理の使い方(The Uses of Argument)』で提唱したモデルです。

当時の論理学は、数学の証明のように「正解・不正解」を導く硬いスタイルが中心でした。
しかし現実の社会は、そんなに整っていません。

法廷、政治、ビジネス、家庭内会議(これが一番しんどい)。
現実の議論は、不完全な情報感情利害が混ざった“沼”です。

そこで彼は考えました。
「どうすれば、人は納得し、動くのか?」

この問いに対して生まれたのが、単なる理屈ではなく、信頼を勝ち取るためのロジックです。
難しく考える必要はありません。
基本の3要素だけで、文章の強度は劇的に変わります。

文章の強度を上げる3要素

トゥールミンロジックの核は、ざっくり言うとこうです。

データ(事実):客観的な事実や統計、経験則、一次情報。
主張(結論):あなたが一番伝えたいこと。読者に渡したいメッセージ。
ワラント(橋渡し):なぜそのデータから、その主張が言えるのかという「理由の橋」。

多くの人が「データ」と「主張」だけで終わります。

たとえば、こんな文章。

「世の中は副業ブームだ(事実)。だからあなたもやるべきだ(主張)。」

これ、読者は動きません。
なぜなら、心の中でこう返されるからです。

「で? 私がやる理由は?」

ここで必要なのがワラントです。
ワラントは、読者の頭の中にある“反論”を先回りして潰します。
言い換えると、ワラントは読者の警戒心を解く鍵です。

たとえば、同じ内容でもこう変わります。

「副業を持つ人が増えている(事実)。
なぜなら、給与が上がりにくい時代に、収入源が一つだと人生の選択肢が狭まるからだ(ワラント)。
だから、月1,000円でもいいから“個人で稼ぐ回路”を作るべきだ(主張)。」

これだけで、文章が“筋肉質”になります。
読者が「なるほど」と頷くのは、事実でも結論でもなく、その間の橋です。

「根拠なき主張」という病

かつての私も、ここでコケました。

ラジオの現場で長くやってきた人間は、極端に言えば「感覚で当てる」職業病があります。
空気の揺れ、間の取り方、オチの爆発音か脱力音か。
その場で判断し、その場で勝つ。
これが仕事として成立する世界もあります。

でも、個人として文章を出した瞬間、その“感覚”が通用しない。
なぜなら読者は、あなたの頭の中の映像を共有できないからです。
読者はあなたの「なんとなく」には1円も払いません。

特に30代〜50代のビジネスパーソンは、日々シビアな判断を求められています。
根拠の薄い主張は、善意でも危険です。
だからこそ、信頼が必要になる。

この状況を、苫米地英人氏は「思考停止」という観点で強く警鐘を鳴らしています。
ここで重要なのは、彼の言葉そのものより、指摘の方向です。

私たちは、「稼ぎたい」という欲求でさえ、いつの間にか誰かの価値観に乗っ取られます。
テレビのコメンテーター、ネットのまとめ、強い言い切り。
それを“自分の意見”として語ってしまう。

その結果、起きるのは残酷な現実です。
「あなたの代わりはいくらでもいる」

言葉で稼ぐとは、派手な煽りで勝つことではありません。
「この人の思考は信じられる」
そう思われる回数を積み上げることです。

ファクトで語る勇気が信頼を作る

発信の世界では、「熱量」が過大評価されがちです。
熱量は大事。ですが、熱量だけだと燃え尽きます。

50代は特にそうです。
体力には限りがある。時間も限られる。
だからこそ、勝ち筋は「気合」ではなく信頼の複利になります。

信頼の複利を作る最短ルートが、事実を積み上げ、論理で接続することです。
これが読者に対する最大の誠実さになります。

たとえば私は以前、健康維持の重要性をブログで考えていたとき、あることに気づきました。

「50代は体が資本です」と言うだけでは、人は動かない。
それは正しいけれど、行動を生む言葉ではないからです。

ところが、
「50代以降は筋肉量が年1%以上のペースで減少する」
「筋肉は認知機能やメンタル安定と強い相関がある」
こうした事実を知った瞬間、同じ主張の重さが変わる。

「だから筋トレは美容ではなく“思考力の投資”になる」

この一文は、気合や根性ではなく、
データと論理が橋をかけてくれた結果、生まれた言葉です。

ここで起きているのは、説得ではありません。
納得の発生です。

今日から使える「稼ぐ言葉」の設計図

トゥールミンロジックは、知識ではなく運用技術です。
覚えた瞬間に人生が変わるタイプではありません。
でも、使い続けると確実に文章が変わります。

ここで、今日からそのまま使える設計図を置いておきます。
次の記事を書く前に、これをメモ帳に貼ってください。

①主張(結論):私は何を言い切りたい?(一文で)
②データ(事実):それを支える根拠は何?(一次情報が強い)
③ワラント(橋):「なぜなら〜」を一回、丁寧に書く
④想定反論:読者が言い返してきそうな一言は?
⑤補強:その反論に対して、事実か経験で一つ補強する

ポイントは④と⑤です。
ここまでやると、文章の説得力は別物になります。

そして、誤解してほしくないのがこれです。
論理は、あなたを“理屈っぽい人”にする道具ではありません。

論理とは、あなたの情熱を届けるための最短ルートの地図です。
地図があるから、迷子の読者を置き去りにしない。
それだけの話です。

言語運用能力をアップデートする

論理的に考えることは、才能ではなく訓練です。
トゥールミンロジックを意識して書き続けると、脳内に新しい回路が開通します。

会議での発言。
部下へのアドバイス。
家庭内の交渉(ここが一番、論理が折られる)。
そして将来のコンテンツ販売。

あらゆる場面で、自分にこう問えるようになります。

「その根拠は何か?」
「論理の飛躍はないか?」
「読者(相手)の反論を先に潰せているか?」

この自問自答が、体力勝負を終わらせます。
50代から稼ぎ続ける力は、筋肉よりも先に思考の骨格で決まります。

思考を資産に変える第一歩

論理を味方につけないまま発信を続けるのは、底に穴の空いたバケツで水を汲むようなものです。
どんなに言葉を注いでも、信頼という貯金は貯まっていきません。

そのまま1年後、2年後を迎えた自分を想像してみてください。
相変わらず「いいね」の数に一喜一憂し、誰の記憶にも残らない“日記”を書き続けている。

それ、もったいなさすぎます。
あなたには経験がある。現場がある。積み上げた時間がある。
あとは「型」を入れるだけです。

今日、10分だけ時間を取ってください。

次に書こうとしている記事の「主張」を一つ決める。
それを支える「事実(データ)」を一つだけ調べてメモする。
最後に、その二つを繋ぐ「なぜなら〜」を丁寧に一回書く。

その瞬間、あなたの言葉には重力が宿ります。
たった1ミリの深掘りが、1年後のあなたを「選ばれるプロ」へ押し上げます。

信頼は、才能ではなく手続きで作れます。
そして手続きは、再現できます。

今日から、あなたの言葉に“背骨”を入れていきましょう。

この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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