最近、「AIが仕事を奪う」「50代はもう時代に取り残される」など、刺激的な言葉がネットやテレビで飛び交っています。とくに、定年後に向けて“自分の力で稼ぐ準備(ゼロイチ)”を始めたいと思う50代にとっては、どれも他人事ではありません。
「AIなんて今さら覚えられない」
「自分には何も強みなんてない」
「どうせ若い人の方がAIも発信も得意なんだろう」
もしあなたがこんなふうに感じているなら、それは“不安”ではなく、“誤解”です。
断言します。AIは敵ではありません。あなたの中に眠ってきた30年分の経験・失敗・工夫を、すべて“武器”に変えてくれる、最強の味方です。
今日はその中でも、私が気づいた「AIを専属インタビュアーとして使い、自分の強みを発掘する方法」をお話しします。
なぜ「自分の強み」は言葉にできないのか?
「あなたの強みは何ですか?」
この質問に即答できる日本人は少ないです。特に50代は、長く組織で働いてきたため、成果や工夫を「自分だけのもの」にしない傾向があります。
「自分の手柄じゃない」
「ただ会社の方針に従っただけ」
「みんなやっていることを、やっただけ」
そんなふうに考えてしまい、自分の価値を過小評価してしまうんです。
私は昔、ラジオディレクターとして多くの方にインタビューしてきました。調査番組、地域取材、舞台裏の密着──有名無名を問わず、何百人という方にマイクを向けました。
そこで嫌というほど気づいた“共通点”があります。
「人は、聞かれないと、自分の価値を言語化できない」
これは本当に驚くほどです。どんなに優れた技術者でも、どんなに思い切った判断をしてきた経営者でも、「それはすごいですね!」と伝えても、本人はキョトンとして「いや、当たり前のことをしただけですよ」と答える。
そう、価値の正体は“日常化”なんです。
毎日やっているから気づけない。誰もマイクを向けないから、言葉にならない。だから「強みがない」と誤解してしまう。
必要なのは自己分析ではなく、“第三者の鋭い問い”です。取材現場では、こちらが質問することで記憶の扉が開き、ストーリーがあふれ出す瞬間が必ずあります。
つまりあなたに「強みがない」のではありません。“問いを投げてくれる相手がいなかっただけ”なんです。
AIを「専属インタビュアー」にするという発想
定年後に向けて“ゼロイチ”を目指すなら、まず必要なのは「自分は何を商品にできるのか?」という理解です。
ただ、キャリアコーチやプロのインタビュアーを雇うと費用がかかるし、相談するのも気が引ける。文章を書くのが苦手な人なら、なおさら難しい。
そこで登場するのが、生成AIです。
多くの人はAIに「答え」を求めてしまいます。
「稼げる副業を教えて」
「ブログのネタを教えて」
でも本当に重要なのは反対です。
AIに“質問させる”んです。
これは想像以上に心理的負担がありません。「私を取材して」とチャットで一言伝えるだけ。あとはAIが淡々と鋭い質問をくれるので、それに答えていけばいい。
むしろ人間相手より気楽です。気まずくならないし、噛み合わなくても怒られません。
文章が苦手でも、質問に答えるだけなら誰にだってできます。
今日からできる!コピペで使える「魔法のプロンプト」
以下の文章を、ChatGPTなどにそのまま貼って(適宜アレンジ)してください。
私は50代の会社員です。定年後に個人で稼げるスキルがあるか自信がありません。 私の過去の経験や強みを言語化したいので、あなたは「プロのインタビュアー」として私に質問してください。 私が気づいていない強みや価値が引き出されるよう、深掘りする質問を順番にお願いします。
これだけでAIは“あなたの専属面接官”になります。
実際の「シミュレーション」をお見せします。
AI:「これまでのキャリアで、一番“理不尽だ”と感じたトラブルと、それをどう乗り越えたか教えてください」
あなた:「強いて言えば、急な仕様変更で納期が半分になった時かな。とにかく関係各所に頭を下げて、優先順位をつけてもらった」
AI:「その経験は『ステークホルダー・マネジメント(調整能力)』という非常に価値の高いスキルです。プロジェクトを動かす力がある証拠です」
……どうですか?
あなたの中では「ただの苦労話」だったものが、AIの視点を通すと「市場価値のある能力」に翻訳される。
これが言語化の魔力です。
行動心理学で見る「AIへの不安」の正体
それでも「AIは怖い」「よくわからない」と思う方も少なくありません。これは能力の問題ではなく、脳のクセです。
人間の脳にはRAS(網様体賦活系)というフィルターがあり、関心を持ったものだけを拾い集める習性があります。
「AIは危険」と思っていると、悪いニュースばかりが集まる。一方で、AIと対話して「こいつは味方だ」と認識すると、今度はポジティブな情報──活用例、成功事例、効率化のヒント──がどんどん見えるようになります。
これは“心理的遠近感”が変わるからです。
まずは一度、AIに質問させてみてください。「私の強みは何?」と聞くだけで、脳内の設定がガラッと変わります。
まとめ:AIは「怒らない部下」だと思えばいい
準備はいりません。今夜、あなたが飲んでいるビールやコーヒーの片手間で構いません。肩の力を抜いて、AIに話しかけてみてください。
実は私も、最初はAIにどう接していいか分からず、「こんにちは」とだけ打って固まりました。ただ、話しかけてみると、AIはこちらの迷いや不安を一切否定せず、何度も何度も聞き返してくれる。
今では私は「AIは、絶対に怒らない部下」だと思っています。失敗しても、噛み合わなくても、遅くても、何度でも寄り添ってくれる。
30年働いてきたあなたの中に、「何もない」なんてあり得ません。マイクが向けられていなかっただけです。
AIというマイクの前で、あなたの経験を語ってください。その瞬間から、あなたのゼロイチが始まります。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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