なぜ人は飽きるのか?|“続ける力”を鍛える方法

「また続かなかった…」の裏にある心理

副業を始めたけれど、3か月もすると更新が止まってしまう。
最初はあんなにやる気に満ちていたのに、気づけば画面を開くのも面倒になる──。

この「飽き」との戦いに、多くの人が悩んでいます。
でもそれは、意志が弱いからでも、根性が足りないからでもありません。
脳が「もうここから学ぶことは少ない」と判断して、
あなたに“次を探索せよ”とサインを送っているだけなのです。

つまり、「飽き」とは“怠け”ではなく、“次のステップへの招待状”。
この仕組みを理解し、うまく扱えるようになれば、
自分の力で新しい価値を生み出し続けることができます。

この記事では、「人がなぜ飽きるのか?」という心理の構造をひもときながら、
飽きやすい人が“続ける力”を鍛える具体的な方法を紹介します。

なぜ人は飽きるのか?

脳は常に「次に何が起こるか」を予測し、
その予測が当たるほど刺激を感じなくなります。
この“予測誤差の減少”こそが飽きの正体です。

どんなに好きな仕事でも、同じことを繰り返せば学びが止まり、
ドーパミン(意欲を生む神経物質)の放出も減ります。
人は、新しい情報を得たときにこそ強いモチベーションを感じる。

だからこそ、「飽きる」は自然な生理反応。
続ける人と続かない人の違いは、
“飽きが来たときに、どう動くか”にあります。

飽きやすくなる3つの理由

まず、なぜ人は飽きてしまうのか。
そこには脳と行動の構造的な理由があります。

ひとつは、「経験の飽和」。
同じような仕事・作業を何度も繰り返してきた結果、
新しいことへの“驚き”が減ってしまう。

ふたつめは、「成果の見えづらさ」。
自分の取り組みがすぐに数字や反応に結びつかないと、
進歩の実感が得にくく、モチベーションが冷めやすい。

そして最後が、「意義の希薄化」。
誰かに与えられた目的ではなく、自分の意志で行動する時、
「何のためにやっているのか」が曖昧になると、
脳はそれを“意味の薄い努力”と判断して活動エネルギーを絞ります。

この三重構造が、「続かない病」をつくる根っこです。

私は2017年から、毎朝5kmのランニングを続けています。
けれど、どんな習慣にも“慣れ”は訪れます。
同じ時間、同じコースを走っていると、景色も気分も惰性になる。
だから、土日はバイクで出かけて、景色のいい場所で5km走るのが習慣です。
走ったあとは、地元の食堂で美味しいものを食べて帰る。
不思議なことに、そんな“非日常ラン”を入れると、平日の同じコースも新鮮に感じるんです。
飽きることを「方向転換のサイン」として受け入れる──
これが、私が日常で続けている“設計”のひとつです。

飽きることを前提に“設計”する

ここで発想を変えましょう。
「どうすれば飽きないか」ではなく、
「飽きる前提でどう設計するか」。

飽きは止められません。ならば、周期的に“刺激を入れ替える”仕組みを組み込む。
これが、最も現実的で持続可能な戦略です。

続ける力を鍛える7つの仕組み|理論と出典

タスクを「作業・創造・整理」に分ける
脳は集中資源を一箇所に使い続けると疲弊します。
“作業(ルーチン)→創造(負荷)→整理(軽作業)”を交互に回すことで、
注意の消耗を防ぎ、集中を長期化できます。
このサイクルは、フロー状態(没入)に入りやすい環境をつくります。
引用:ミハイ・チクセントミハイ『Flow: The Psychology of Optimal Experience』(1990)におけるフロー理論(Flow Theory)。

5分前リチュアル(儀式)をつくる
行動の前に同じ音楽や飲み物をセットにするなど、特定の刺激を「開始の合図」に設定すると、
脳が自動的に“集中モード”に入るようになります。
意志の力ではなく「習慣のスイッチ」で集中を再現するのが目的です。
引用:BJフォッグ『Tiny Habits』(2019/スタンフォード大学・行動デザインモデル)およびパブロフ『Conditioned Reflexes』(1927)。

週1の“非日常トリップ”を取り入れる
新しい刺激(未知の環境や経験)はドーパミンを分泌し、
脳を再び「学びのモード」に戻します。
同じ場所・同じ思考では脳の配線が固定化するため、
あえて“違う道を歩く”ことが、創造性の維持につながります。
引用:ヴォルフラム・シュルツ『A Neural Substrate of Prediction and Reward』(Science, 1997)

報酬を“変動制”にする
報酬を毎回一定にせず、ランダムに設定することで、
脳が「次は何が起きる?」という期待を保ち続けます。
この“不確実性の快楽”が、モチベーションを長期的に維持する鍵になります。
引用:B.F.スキナー『The Behavior of Organisms』(1938)およびシュルツらによる報酬予測誤差研究(1997/1998)。

同じテーマを“媒体替え”する
文章を音声に、音声を図解に、と形式を変えて表現すると、
脳が複数の経路で情報を処理し、再び新鮮さを感じます。
「同じことを違う形で伝える」ことが、飽きを防ぎ、理解を深める最良の方法です。
引用:アラン・パイヴィオ『Imagery and Verbal Processes』(1971)におけるデュアルコーディング理論(Dual Coding Theory)

小さな他者との接続を持つ
コメントや共感、軽い会話でさえ、脳内報酬系を刺激し、継続の燃料になります。
人のやる気は「自律」「有能感」「関係性」の3要素で支えられるとされ、
他者との関わりはその中核です。
引用:アルバート・バンデューラ『Social Foundations of Thought and Action』(1986)における社会的学習理論。

飽きログを残す
「どんな時に飽きたか」を記録することで、
自分の行動・環境・感情のパターンを可視化できます。
“飽き”を観察できる人は、再設計も早い。
これは、心理学的に最も再現性の高い継続戦略です。
引用:ロイ・バウマイスター『Losing Control: How and Why People Fail at Self-Regulation』(1994)によるセルフモニタリング理論。

まとめ|飽きは「終わり」ではなく「更新」だ

挑戦に必要なのは、気合ではなく設計です。
飽きることを恐れず、むしろ「更新サイクル」として利用する。
そうすれば、長く続けることができ、
やがて“継続できる人”という最大の信頼が生まれます。

人は飽きる。けれど、何度でも始め直せる。
この柔軟さこそが、変化の時代を生き抜く最大の武器になります。

この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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