定年後に「個人で稼ぐ」とき最初にぶつかる壁
50代に差し掛かると、多くの人が「このまま会社だけに頼って大丈夫か」という不安を抱きます。年金は減り、定年延長はあるけれど収入は頭打ち。副業や起業という言葉に触れれば「やってみたい」と思う一方で、「何から始めればいいのか分からない」「自分にできることがあるのか」と立ち止まってしまう人が多いのです。
これは決して個人の怠けではありません。心理学的に、人間は未知のものを「ひとまとまりの大きな不安」として捉える傾向があります。そのままでは身動きが取れなくなり、行動できない。だからこそ大事になるのが「問題を分けて整理する力」です。
不安を小さく切り分ける「細分化思考」
菅原健一さん(株式会社Moonshot 代表取締役)の著書『小さく分けて考える』は、副業を始めたい50代にとってまさに実践の武器になります。たとえば「副業が続かない」という悩みをそのまま抱えていると、漠然とした不安に押しつぶされます。しかし、これを「時間の作り方」「具体的なスキル選び」「家族への説明」という3つに分ければ、次にやるべきことが見えてくる。
細分化は料理の下ごしらえに似ています。大きなキャベツをそのまま口にするのは難しい。でも千切りにすれば食べやすい。問題も同じで、分けることで初めて手に取れるサイズになるのです。
私自身、ラジオの現場で数百人規模のイベントを動かしてきましたが、そのときも成功のカギは「細分化」でした。演者調整、音響、集客、物販…バラバラに分けて担当を決めるからこそ、大きなプロジェクトが動いたのです。副業も同じで、やることを分ければ必ず行動に移せます。
認知行動療法から学ぶ「不安の整理術」
次に役立つのが、大野裕先生の『やさしく学ぶ認知行動療法』です。認知行動療法(CBT)では、出来事を「状況」「思考」「感情」「行動」に分けて捉えます。これは副業を始めるときの心の壁を乗り越えるのに効果的です。
例えば「ブログを始めたいけど批判が怖い」と思ったとします。
状況=SNSに記事を投稿する
思考=批判されるかもしれない
感情=不安、恐れ
行動=投稿をやめる
こう整理すると「批判されるかも」という思考が行動を止めていると気づけます。では「役立ったと喜んでくれる人もいる」と思考を書き換えたらどうでしょう。感情は少し軽くなり、投稿という行動を選べるようになります。
50代は経験も豊富ですが、そのぶん「失敗を恐れる気持ち」も強くなりがちです。認知行動療法の枠組みを使えば、過剰な恐れを分解し、現実的に行動できる心の土台を整えられるのです。
キャリアを再設計する「逆転戦略」
そして最後に必要なのが、松尾昭仁さん(株式会社FeelWorks 代表取締役)の『50歳からの逆転キャリア戦略』に学ぶキャリアの再設計です。副業をするにしても、何を武器にすればいいのか分からないと動けません。
ここで有効なのが「会社員時代の経験をパーツごとに棚卸しする」方法です。プレゼンが得意なら「資料作成代行」、人脈が広いなら「マッチング型の紹介ビジネス」、経理経験があるなら「フリーランス向けの会計サポート」といった具合に分解できます。
私自身も、放送業界で培った「演出」「ディレクション」「段取り力」を切り出すことで、情報発信やイベント企画に応用してきました。50代のキャリアは決して古びてはいません。分解すれば必ず「売れる要素」が見つかります。
3つを組み合わせれば行動が始まる
ここまで紹介した3つの力は、どれか一つでも役立ちますが、組み合わせることで相乗効果が生まれます。
- 細分化思考で「漠然とした不安」を小さく切り分ける。
- 認知行動療法で「感情に振り回される自分」を整理し直す。
- キャリア戦略で「強みを再構築」し、副業につなげる。
この流れを繰り返せば、必ず「最初の月5万」に近づきます。副業で月5万を得られれば、心理的にも経済的にも大きな安心感が生まれ、さらに挑戦を続けやすくなるのです。
今日からできる小さな一歩
記事を読んで「よし、やってみよう」と思っても、また時間が経つと不安に戻ってしまうことがあります。そこで、今すぐできる小さな一歩を示しておきます。
・紙に「やりたいこと」と「不安なこと」を3つずつ書き出す
・それぞれを「時間」「スキル」「人間関係」に分けて整理する
・感情に名前をつけてみる(不安・怒り・ワクワクなど)
・過去のキャリアから「自分の得意分野」を1つ選んで書く
これをやるだけで、「行動に移せる思考の準備」が整います。定年後の副業は、特別な才能や人脈よりも、この地道な準備の積み重ねが成功を左右します。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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