文章を書こうとした瞬間、胸の奥に住みついた“検閲官”がささやき始めるときがあります。
「ねえ、これ初歩すぎない?」
「こんな当たり前のこと書いたら笑われるよ」
「もっとすごい人が、もっと深いこと言ってるじゃないか」
そして書きかけの記事は「下書き」に放り込まれ、ブラウザは静かに閉じられる。
そんな夜を、何度も経験した人は多いものです。
でも、あなたにどうしても伝えておきたいことがある。
その不安こそ、あなたが“プロの領域”に片足を突っ込んでいる証拠です。
この記事では、あなたが「当たり前」と感じている知識が、なぜ市場で最も価値が高いのかを、心理学と統計データをベースに解き明かします。
読み終えた頃には、あなたはきっと「この大したことない記事を、今すぐ公開したい」と思っているはずです。
勉強熱心な人ほど自信をなくす理由
心理学の世界には「ダニング=クルーガー効果」という有名な理論があります。
一般的には“能力が低い人ほど自信満々になる現象”として語られますが、本当に重要なのはその裏側です。
能力が高い人ほど、自分の能力を過小評価してしまう。
理由はとてもシンプルです。
努力し続け、知識が積み上がると、あなたは「かつて苦労したこと」を呼吸レベルでできるようになります。
・ショートカットキーが自然に出る
・専門用語が普通に頭にある
・作業工程の最適化が当たり前
・基礎の基礎が、もう基礎に見えなくなる
この瞬間、脳は錯覚を起こします。
「こんなの、全員できるよね?」
心理学ではこれを「知識の呪い(Curse of Knowledge)」と呼びます。
知識が増えるほど“知らない人の気持ちが想像できなくなる”という、なんとも皮肉な現象です。
だからあなたは不安になる。
それは未熟だからではなく、むしろ“熟達したからこそ”起きている錯覚です。
日本の「95%の人」が勉強していないという圧倒的データ
ここからはデータで現実を確認しましょう。
総務省や文化庁の調査によると、日本の社会人の平均勉強時間は――
1日たったの7分。
本を月に1冊も読まない人は6割。
勉強習慣がある人は、全体の4〜5%。
これを数字のまま受け取ると、ある真実が見えてきます。
あなたは、すでに上位5%側の人間です。
「このブログを読んでいる」
「ビジネス書を数冊読んだことがある」
「知識を検索しながら学んでいる」
これだけで、もう“勉強する側の人間”に入っています。
あなたの当たり前は、95%の人からしたら“魔法レベルの情報”です。
もっと率直に言うなら、
あなたの当たり前=他人にとっての高付加価値コンテンツ
です。
あなたが想像している「馬鹿にしてくる人」は顧客ではない
あなたが恐れている「笑ってくる人」は誰でしょうか?
・SNSで目立つ同業者?
・トップクリエイター?
・すでに成功しているインフルエンサー?
でも、ちょっと考えてみてほしい。
その人たちはあなたの顧客ですか?
違います。
あなたの顧客は、圧倒的多数を占める勉強していない側――
つまり95%の人たちです。
この人たちにとっては、
・基礎の説明
・初歩的な設定
・よくある失敗例
・最初の1冊のおすすめ
こうした内容こそが「喉から手が出るほど欲しかった情報」なのです。
あなたが「これ初歩すぎるよね?」と躊躇する内容ほど、彼らにとっては宝物。
ダニング=クルーガー効果は“マーケティング戦略”になる
ダニング=クルーガー効果のグラフをそのままマーケティング構造に重ねると、売れるゾーンが明確に見えます。
左端の“馬鹿の山”。
知識はゼロなのに自信だけは満タンの初心者。
ここが市場としては最も人数が多く、最も売れる層です。
この層に必要なのは、あなたの「レベル0.1」の知識です。
あなたが「いや、これはさすがに簡単すぎる……」と感じるレベル。それでいい。むしろ、それがいい。
逆に少し学んだ人が落ち込み始める“絶望の谷”。
この層に刺さるのはノウハウではなく「共感」です。
「ここでつまずくよね、私もそうだった」
「これ本当に難しいよね」
「でもこうすれば少し楽になるよ」
あなたの失敗は、最高のコンテンツ資産になります。
結論:未来の読者は「過去のあなた」である
コンテンツを書くときは、たった一人の読者だけを思い浮かべてください。
3年前のあなた。
あるいは3ヶ月前のあなた。
あの頃の自分は何に困っていた?
どこで詰まった?
どんな一言があれば救われた?
・専門用語の意味がわからなかった
→ 世界一やさしい解説を書けばいい。
・手順が複雑で手が止まった
→ ステップ1だけを丁寧に図解すればいい。
今のあなたにとっての当たり前は、
過去のあなたにとって“救世主級の答え”だったはずです。
だから、書くときに専門家らしく振る舞う必要はない。
一歩だけ先を歩く先輩として、過去のあなたに向けて書けば、それで十分伝わる。
最後に:さあ、公開ボタンを押そう
あなたが恐れている「笑ってくる誰か」は、あなたの読者ではありません。
あなたの本当の読者は、あなたの言葉で救われる人たちです。
そして、その人たちはまだ“知らない側”にいます。
あなたの当たり前は、立派な商品になる。
堂々と売り出していい。
むしろ売るべきです。
あなたの知識は、あなたが思っている以上に誰かの人生を変えます。
そろそろ自分を過小評価するのは終わりにしましょう。
勇気を出して、その記事を公開してください。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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