AIは「答える道具」から「議論する仲間」へ。ファシリテーション研修で見つけた新境地

組織を動かす技術「ファシリテーション」との出会い

先日、会社で「ファシリテーション研修」に参加する機会がありました。
皆さんは「ファシリテーション(Facilitation)」という言葉を正しく説明できるでしょうか。

語源はラテン語の「facilis(容易にする)」。つまり、「集団による知的相互作用を促進し、合意形成や問題解決を容易にする技術」のことを指します。

かつてのビジネス現場では、強いリーダーがトップダウンで指示を出すスタイルが主流でした。しかし、現代のような正解のない「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代」においては、一人のカリスマの知能には限界があります。

そこで、1960年代から70年代にかけて、アメリカの応用行動科学や組織開発の分野で、「個人の能力を最大限に引き出し、チームとして最善の答えを導き出す」ためのファシリテーションという概念が提唱され、今日ではマネジメントに不可欠なスキルとして定着しています。

研修で感じた「ファシリテーターの孤独」

研修を通じて学んだのは、ファシリテーター(進行役)がいかに高度なマルチタスクをこなしているかということでした。

  • 発言者の意図を汲み取る(傾聴)
  • 対立する意見の共通点を探す(整理)
  • 発言が少ない人に話を振る(介入)
  • 脱線した話を本筋に戻す(構造化)

これらを一瞬で判断し、場をコントロールしなければなりません。「これは練習が必要だ、でも、日常でそんなに都合よく議論が紛糾する場なんてない……」
そんな時、ふと頭に浮かんだのが、いつも使っている「AI(ChatGPT)」の存在でした。

「AIに正解を聞く」のをやめてみた

研修から帰宅した私は、実験を始めました。
これまでの私は、AIを「優秀な検索エンジン」や「辞書」のように使っていました。何かを質問し、その「答え」を得る。それが当たり前だと思っていたのです。

しかし、研修で学んだファシリテーションの極意は「異なる意見をぶつけ合わせる」ことにあります。
そこで、私はAIに一つの質問を投げるのではなく、「3人の異なる人格」を与えて、私の目の前で議論をさせることにしました。

  • 推進派(A): 常にポジティブで、リスクを取ってでも進めるべきだと主張する。
  • 慎重派(B): 常にコストやリスクを指摘し、徹底的に反対する。
  • 脱線派(C): 自由奔放で、直感的に全く別の角度から横槍を入れる。

私は彼らに「お題」を投げ、自分は「ファシリテーター」としてその議論を回すことに徹したのです。

AIファシリテーションが生み出す「多角的視点」

この試みは、驚くべき結果をもたらしました。
AIに一人で答えを出させると、どうしても「一般的で、当たり障りのない正解」に落ち着きがちです。

しかし、A・B・Cという異なる役割を与えたことで、議論の中に「摩擦」が生まれました。
「それは理想論だ!」と食ってかかるBさんに対し、Aさんが具体的な解決策を提示し、そこにCさんが「そもそも目的が違うのでは?」と本質的な問いを投げ込む。

このやり取りを私が「ファシリテーター」として整理していく過程で、私一人の思考では決して辿り着けなかった「納得感のある最適解」が、まるで彫刻を掘り出すように現れてきたのです。

「やりたいこと」に、新しいスパイスを加えるために

もちろん、自分の「やりたいこと」や「直感」を信じて突き進むことは大切です。でも、一人で考えているとどうしても視界が狭くなってしまうことがあります。

そんな時、AIを使ってあえて自分とは違う意見を聞いてみる。
「自分の情熱」を主軸にしつつ、AIの多角的な視点を「スパイス」として取り入れる。
それだけで、思いもよらなかった斬新なアイデアや、見落としていたリスクに気づくことができるのです。

AIをただの「相談相手」にするのではなく、自分をサポートしてくれる「擬似的なチーム」にしてしまう。そんなAIの使い方も、これからの時代の楽しみ方の一つではないでしょうか。

今後のブログの新しいカタチ

今日から、このブログでも新しい挑戦を始めます。
これまでの個人の記録に加えて、「AIをファシリテートすることで、いかに新しいアイデアを生み出せるか」という実験のプロセスも発信していこうと思います。

  • 自分のやりたいことを、AIはどう深掘りしてくれるのか?
  • 異なる意見をぶつけ合わせることで、どんな化学反応が起きるのか?

一人で悩み、決断の重圧を感じているあなたへ。
AIを「ファシリテート」するという新しい選択肢が、あなたの活動に新しい風を吹き込むきっかけになれば幸いです。

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