「自分の商品を作りたいけれど、何から始めればいいのか分からない」
副業やフリーランスを考える人から、必ず出てくる悩みです。
特に50代以降の人にとっては切実な問題でしょう。会社に守られて働けるのはせいぜい60歳前後まで。その後も収入を得たいと考えたときに、自分の商品を持っていなければ、残るのは体力を削るアルバイトや、単発の労働力提供だけになってしまいます。
逆に、自分の商品を持っている人は強い。働き方を自分で選びながら、信頼や実績を資産に変え、収益を続けられるのです。
では、自分の商品はどう作ればいいのでしょうか。答えはシンプルです。サービスを分割して、安価商品とプレミア商品に整理すること。この記事では、その具体的な手順と考え方をお伝えします。
サービスを「分割」すると商品になる
多くの人が勘違いしています。
「商品を作る=ゼロから何かを発明すること」だと。
実際には、これまで提供してきたサービスの中にすでに商品化できる要素が隠れています。特に繰り返し行っている作業は、分割すればそのまま商品になるのです。
ライターの場合
ライターを例にしてみましょう。
従来なら「記事を1本いくら」で引き受けるのが一般的です。しかしこれを分割すれば、商品が階層化されます。
- 安価商品:単発記事の執筆
- 中価格商品:SEO調査+記事執筆
- プレミア商品:連載+企画構成+ディレクション
顧客はまず安価な単発記事で試し、安心すればSEO調査込みを依頼し、さらに信頼が深まれば連載を任せる。この流れが自然に生まれます。
つまり、単発案件しかなかったものが、分割と階層化によって「お試しから本命までの導線」を持つ商品に変わるのです。
心理学で裏付ける商品設計
こうした階層化には心理学的な裏付けがあります。
- 松竹梅の法則:3つの価格帯を提示すると、人は中間を選びやすい。
- デコイ効果:極端に高い商品があることで、中価格帯の価値が強調される。
- 参入障壁の低減:安価な商品が「お試しの安心感」を与え、購買ハードルを下げる。
この3つを踏まえて商品設計をすれば、顧客は自然に中価格商品を選び、満足すればプレミア商品へと進んでいきます。
ポッドキャストの場合
もう一つ、個人が始めやすい媒体としてポッドキャストがあります。ここでも分割と階層化は有効です。
- 安価商品:エピソード構成テンプレートの提供
イントロ→本編→まとめの流れやジングルのサンプルを用意し、初心者でも形にできるようにする。 - 中価格商品:収録+編集代行サービス
Zoom収録サポート、ノイズカット、BGM挿入など「面倒な作業」を肩代わりする。 - プレミア商品:番組プロデュース一式
コンセプト設計から話し方指導、配信計画やSNS戦略までを含め、番組をブランド資産として構築する。
個人でポッドキャストを始める人にとって、これらは「自分ではやり切れないけど欲しいサービス」です。ここでも安価→中価格→プレミアの自然な導線が成立します。
ラジオディレクター時代の教訓
私はラジオディレクターとして30年以上、番組制作に携わってきました。
当初は、すべての番組を完全オーダーメイドで作るのが当たり前でした。編成部から発注があり、出演者のブッキング、台本作成、音楽選定、収録、編集まで、すべてをゼロから組み上げます。
確かにクオリティは高まりましたが、毎週ゼロから作り直すやり方は、膨大な労力を必要とします。
やがて気づきました。リスナーが求めているのは「安定感のある番組体験」であり、その土台を作るのがディレクターの役割だと。そこで導入したのが、番組フォーマットです。
トークの流れ、ジングルの入り方、BGMの使い方を標準化し、基本の枠を作ったのです。
すると、制作の負担は大幅に減り、特別回や大物ゲスト出演のときだけ全力でカスタムできるようになりました。結果的に、完成度も上がり、リスナーの満足度も向上しました。
この経験はそのまま「商品づくり」に通じています。
すべてをオーダーメイドにせず、共通部分を標準化してフォーマット化する。特別対応はプレミア枠として力を注ぐ。これが、自分の商品を作るうえでの基本戦略なのです。
よくある疑問に答える
Q. 安価商品を出すとブランドが安売りに見えない?
→ むしろ入り口を用意することで、顧客は試しやすくなり、信頼が生まれます。その後プレミア商品につながるのです。
Q. プレミア商品は本当に売れるの?
→ 売れる数は少なくても問題ありません。存在するだけで「中価格商品が魅力的に見える効果」があります。
Q. 値段はどうやって決めるの?
→ 作業時間と市場相場をベースにしつつ、3つの価格を並べたときに「真ん中が一番選ばれる」ように調整しましょう。
仕組み化で拡張可能にする
商品を作っても、すべてを自分一人で抱えていては成長が止まります。次のステップは仕組み化です。
- プロセスを文書化する
- テンプレートを作成する
- 自動化ツールを導入する
- 外注で安価商品を任せる
ライターなら単発記事は外注に回し、自分は連載や企画案件に集中する。ポッドキャストなら編集は外注に任せ、自分はプレミア顧客へのプロデュースに力を注ぐ。
こうして「時間をお金で買う」仕組みを整えることで、事業は拡張可能になります。
今週の課題:自分の商品を設計する
読んで終わりにしないために、今週できる課題を提示します。
- 過去10件の仕事を振り返り、共通要素をリストアップする
- それを分割して、安価商品とプレミア商品を設計する
- 自分の前後にいるパートナー候補を3社探す
この3つをやるだけで、自分の商品設計の基盤が整います。
まとめ
自分の商品を作るのは、ゼロからの発明ではありません。
これまでの経験を分割して整理し、安価商品とプレミア商品の二段構えにすること。そこからスタートできます。
心理学の裏付けを持つ価格設計で、顧客は中価格を選びやすくなり、満足すればプレミア商品へと進んでいきます。さらに周辺サービスと組めばエコシステムが生まれ、仕組み化すれば拡張可能になります。
まずは過去10件の棚卸しから始めましょう。そこに、あなたの商品づくりの答えが眠っています。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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自分の商品作り, サービス分割, 安価商品, プレミア商品, パッケージ化, 副業戦略
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