「チャンスの神様には前髪しかない」。
昔からよく言われる言葉ですが、その意味を深く考えたことがあるでしょうか。
つかむのは一瞬。
ためらえば、振り向いた後ろ姿にはもう手が届かない。
前回の記事で紹介した黒田官兵衛の「草履と下駄でも走り出せ」という教えは、この“前髪だけの神様”の話とも本質が同じです。
完璧な準備を求めるほど、人生の大事な扉は次々と閉じていく。これは戦国の戦だけでなく、私たちの日常にも静かに潜む落とし穴です。
そして気づけば、気合いを入れて過ごしたはずの時間が、何も回収できないまま過ぎ去ってしまう。
この記事では、官兵衛の教えを現代版の資産戦略『DIE WITH ZERO』と重ねながら、「人生で本当に逃してはいけないチャンス」の正体を深堀りします。
老後の不安に振り回され、今の楽しみを先送りする人が多い時代だからこそ——。
この記事を通して、自分の時間とお金を“どの瞬間に使うべきか”を、もう一度捉え直してみてください。
老後のための“準備”が、最大のチャンス損失になっている
官兵衛が生きた戦国時代、チャンスを逃すことは命を落とすことでした。
では現代人が逃しているのは何か。
それは、もっと静かで、もっと見えにくいものです。
「老後が不安だから」
「退職金が入ったら」
「子育てが落ち着いたら」
こんな言葉を理由に、私たちは“今の自分”をどれだけ犠牲にしているでしょうか。
あなたも感じたことがあるはずです。
未来のことを考えれば考えるほど、いま目の前にあるチャンスは色あせていく。
気がつけば、人生そのものが「終わりなき準備」にすり替わってしまう。
官兵衛が見たら、きっと苦笑いするでしょう。
「敵が目の前を通り過ぎているのに、靴が揃うのを待ってどうするのだ」と。
実際、老後の心配にとらわれて“行動のタイミング”を逃すことは、金銭的な損失以上に、人生の幸福度という面で重大なダメージになります。
『DIE WITH ZERO』が投げかける衝撃の問い
ビル・パーキンスの名著『DIE WITH ZERO』が投げかけるのは、とてもシンプルで、とても強烈な問いです。
「死ぬときに一番お金持ちでどうする?」
浪費しろという本ではありません。
著者が言いたいのは、“お金よりも大事な資産”を忘れている人が多すぎるという事実です。
私たちが見落としがちな資産。それは——
時間と、経験。
どれほど貯金が増えても、
どれほど資産形成に成功しても、
あなたの体力と感性が下り坂に入ったら、もう同じ体験はできません。
20代で使う100万円と、80代で使う100万円。
額面は同じでも“価値”は全く違う。
これは理屈ではなく、実感として理解できるはずです。
官兵衛が「走れ」と言ったのは、状況判断の速さ以上に、
「今しかない瞬間を逃すな」という精神そのものです。
お金にも全く同じ“使い時”があるのです。
経験は「記憶の配当」として複利で返ってくる
『DIE WITH ZERO』最大の発見は、「経験には配当がある」という考え方です。
著者はこれを「メモリー・ディビデンド」と呼びました。
旅行に行く。
子どもとキャンプに行く。
新しい趣味を始める。
こうした体験は、その瞬間に終わるものではありません。
何度も思い返し、そのたびに心の温度を上げてくれる“配当”を生み出します。
銀行の利息は年々下がっています。
投資のリターンも上下があります。
でも、経験がもたらす配当だけは、誰にも奪えません。
早く経験すればするほど、その配当を受け取る期間は長くなる。
つまり、経験という資産に関しては「先送りするほど損をする」ということです。
官兵衛の言葉を借りれば、
勝つべき戦の前で刀を抜かず、機を逃すのと同じ。
人生でも“勝機”は待ってくれません。
官兵衛と『DIE WITH ZERO』——時代を超えてつながる思想
黒田官兵衛は、戦において「温存したまま終わる」ことを嫌いました。
すべてを投入して勝ちにいく。それが彼の美学です。
『DIE WITH ZERO』が伝えているのは、まさに逆の形をした同じ教えです。
資産(あなたの生命力をお金に換えたもの)を残したまま死ぬな。
お金を思い出に変え、人生という舞台を使い切れ。
官兵衛は戦の勝利のために全てを賭け、
パーキンスは人生の幸福のために全てを使い切れと言う。
このふたりは時代も国も違うのに、
「リソースを残したまま終わるな」という一点で、見事に交差しています。
そして、この交点こそが、現代を生きる私たちにとっての重要なヒントです。
50代を迎え、体力も価値観も変わる今こそ——
温存ではなく、行動の質が人生を左右します。
あなたの「タイムバケット」を埋めよう
では、なにから始めればいいのか。
『DIE WITH ZERO』の中で紹介されている「タイムバケット」の考え方が有効です。
“やりたいことリスト”に、「いつやるか」の時間軸を加えるだけ。
それだけで、人生の景色が変わります。
海外旅行は何歳まで楽しめる?
バイク旅は何歳まで安全に走れる?
子どもと全力で遊べるのは何歳まで?
書き出してみると、圧倒的に「今しかない」時間が浮き彫りになります。
50代の今できることは、70代の自分にはできないことの方が多い。
ただの事実です。
だからこそ、今の体力・気力・感性を総動員して、埋めるべきバケットから手をつけていく。
それが「死ぬときにゼロでいい」と考える生き方であり、
同時に「チャンスの神様の前髪をつかむ」唯一の方法でもあります。
まとめ|人生の“勝ち”とは何か
戦国時代に生きた官兵衛にとって、勝利とは生き抜き、名を残すことでした。
では、私たちにとっての勝利はなんでしょう。
通帳の残高を最大化することではありません。
心に残る思い出を最大化することです。
お金は貯め込むものではなく、交換するための道具。
それで得られるのは、幸せの元となる体験、関係性、景色——記憶です。
もしあなたがいま、老後のために我慢しすぎているなら、
官兵衛の顔を一度思い出してみてください。
「準備はもう十分だ。で、いつ走るんだ?」
この問いは、50代の人生戦略にとって、何よりの羅針盤になります。
完璧を待たず、今この瞬間の“体験”へ踏み出す。
それが、人生という戦であなたが掴むべき真正のチャンスです。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
\ あわせて読みたい /
▶︎ 個人IPビジネスの始め方|「ネタがない・続かない・反応がない」を突破する3つの方法
▶︎ 伝わる文章の書き方2026|2年前にはいなかった相談相手
▶︎ 個人IPビジネスにチャレンジ!|経験・スキルを“知的財産”に変える方法

コメント