ネガティブを変換する技術|ポジティブ心理学と“心のトレーニング”の実践法

目次

  • 多くの人が抱える悩みを、どう乗り越えるか?
  • 「前向きに生きたい」のに、なぜ難しいのか?
  • ポジティブ心理学は、技術として学べる
  • ラジオ中継で教わった“見方を変える技術”
  • 習慣としての“心のトレーニング”を始めよう
  • これからはAIが“心の伴走者”になる時代へ
  • まとめ:見方を変えることで、人生は動き出す

多くの人が抱える悩みを、どう乗り越えるか?

気づけば、ネガティブな話題に囲まれている。そんなふうに感じたことはありませんか?

ニュースでは不安を煽るような報道が繰り返され、SNSでは他人と比べては落ち込んでしまう。仕事ではうまくいかないことのほうが目につき、日常では「できなかったこと」ばかりが心に残る。気がつけば、前向きに生きたいはずなのに、ネガティブな感情が心の中心に居座ってしまう。

たとえポジティブな気持ちで始めた朝でも、満員電車や上司のひと言で気分が沈んでしまう。そんな日常を、どうやって前向きに切り抜けていけばいいのか? そう問いかけたくなる人も多いのではないでしょうか。

そんなとき、あなたは「ポジティブ心理学」という考え方をご存知ですか?

「前向きに生きたい」のに、なぜ難しいのか?

実は、私たちの脳はもともと「ネガティブな情報を優先的に記憶する」という性質を持っています。これは太古の昔、危険から身を守るために必要だった防衛本能の名残です。だからこそ、良いことよりも悪いことに敏感に反応してしまう。

つまり、「前向きに考えよう」と思っても、それは人間の本能に逆らう行為なのです。

このことを知ったとき、私はハッとしました。「自分は弱いからネガティブなんだ」と思っていたけれど、そうじゃなかった。むしろ、それは“自然な反応”であって、私たちに必要なのは「ポジティブに変換する力」を鍛えることだったんです。

では、その“変換の力”とは、どうすれば身につけられるのか?

ポジティブ心理学は、技術として学べる

ポジティブ心理学とは、「人がよりよく生きるための心の使い方」を科学的に研究する分野です。たとえば、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは「PERMAモデル」という幸福の要素を提唱しています。

  • Positive Emotion(ポジティブ感情)
  • Engagement(没頭)
  • Relationships(良好な人間関係)
  • Meaning(人生の意味)
  • Accomplishment(達成)

これらをバランスよく育てることで、幸福感は高まり、自己効力感ややる気も育つ。つまり、ポジティブは「性格」ではなく「技術」だというのです。

実際に、いくつかのトレーニングが研究によって効果が示されています。

たとえば、「感謝日記」。一日の終わりに「今日あった良いこと」を3つ書くだけで、脳はポジティブな情報にフォーカスするようになります。

また、「ポジティブ・リフレーミング」も効果的です。たとえば、ミスをしてしまったとき、「自分はダメだ」と捉えるのではなく、「これで成長のチャンスが得られた」と言い換える。それだけでも感情の方向性が変わります。

私自身、この「見方を変えることの大切さ」を、仕事の現場で強く実感したことがありました。

ラジオ中継で教わった“見方を変える技術”

ある日、私は生中継のロケで富士山が見えるという道の駅に行きました。事前には「絶景を伝える中継になる」とワクワクしていたのですが、当日はまさかの濃霧。どこを見ても真っ白で、富士山どころか背景さえ見えない状況でした。

「これはさすがに厳しいな…」と肩を落とした私に、台本作成の段階で関わっていた先輩ディレクターがこう言いました。

「むしろ、この霧はプラスだよ。霧の中、私の目には雄大な富士山が浮かび上がって見えます──そう語るほうがドラマになるし、人の想像力をかき立てる。」

さらに、「この霧の中でも人が集まっている。そこにこそ注目すべきだ」とも。

私はその言葉にハッとしました。事実はひとつでも、どう伝えるかで“意味”は変わる。ネガティブに見える状況を、どうプラスに変換するか。それこそが、伝える人間の役割であり、プロの技術なのだと。

この経験が、私にとって「ポジティブ変換」の原点でした。

習慣としての“心のトレーニング”を始めよう

ポジティブ心理学で提唱されているトレーニングは、どれも日常の中でできるものばかりです。

  • 感謝日記を書く
  • 1日1回、ポジティブな言葉を使う
  • 上手くいかなかった出来事に「よかった点」を見つける
  • フロー(没頭)状態を生む活動を意識的に取り入れる

これらは、ジムに行って筋トレをするように、心にも筋肉をつける習慣です。しかも、それは一人でも、少しずつ始めることができる。

もしあなたが、「前向きに生きたいのに、うまくいかない」と感じているなら、それはあなたが弱いからではありません。ただ、まだ“技術”を知らないだけなのです。

これからはAIが“心の伴走者”になる時代へ

最近では、このポジティブ心理学のトレーニングにAIを活用する事例も増えてきました。

  • 感謝日記や感情ログをAIが分析し、思考パターンを可視化
  • AIがポジティブな問いかけをしながら、自己内省を促進
  • フロー体験の傾向を記録して、次の行動のヒントをくれる

たとえばChatGPTのようなツールも、質問に答えるだけでなく、「今の出来事をどう意味づけするか?」といった視点を与えてくれる存在になりつつあります。

つまり、ポジティブ心理学の実践を「一人でがんばる時代」から、「AIと一緒に育てる時代」へと進めることができるのです。

まとめ:見方を変えることで、人生は動き出す

悪天候の中で「富士山が見えない」と嘆くのではなく、「霧の中に、私は富士山を感じている」と語る。そんなふうに物事をポジティブに変換する技術は、人生を大きく変える力を持っています。

そしてその力は、生まれつきではなく、習慣とトレーニングで育てられるもの。

誰かに「前向きになれ」と言われるのではなく、自分の力で「前向きに変えられる」と知ることが、次の一歩につながるのです。

この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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