商品で「何を解決するのか?」|副業や企画に効くコンセプトのつくり方

「何を解決するのか?」という問いがすべての出発点

副業を始めたけれど成果が出ない。企画を練ってみても、上司や仲間に「で、何が言いたいの?」と突っ込まれる。そんな経験は誰にでもあるはずです。
このモヤモヤを抜け出すために必要なのは、才能でもセンスでもありません。シンプルな問いを立てることです。

それが「何を解決するのか?」という出発点です。

細谷高広さんの『コンセプトの教科書』は、この問いを起点に「問い→ストーリー→一行化」という流れでコンセプトを形にする方法を説いています。つまり、ひらめきを待つのではなく、相手に伝わる言葉に削ぎ落とす訓練こそが大事なのです。


問いがないアイデアは届かない

なぜ「問い」が大切なのか。
それは、問いを立てない限り、アイデアは独りよがりになってしまうからです。

「こんなことをやってみたい!」と熱く語っても、「で、誰に何の役に立つの?」と聞かれて答えに詰まる。これは才能がないわけではなく、単純に「問い」が立っていないのです。

問いを立てることは、仮説を立てることです。内田和成氏の『仮説思考』にはこんな一節があります。

「名刺の裏一枚に書ききれないアイデアは、大したアイデアではない」

要するに、説明に何枚もレポートが必要なアイデアは、本人にとっては壮大でも、他人には伝わらない。問いを立てれば仮説が絞られ、核心に近づきます。


ストーリーに変えるとはどういうことか

『コンセプトの教科書』が次に示すのは、「問い」を「ストーリー」にする段階です。
ストーリーと聞くと難しく聞こえますが、ここでいうストーリーは「人と人の関係を結びつける筋道」のことです。

たとえば、温泉を紹介するとしましょう。
「効能がいい」「値段が安い」などの情報だけでは、人の心には残りません。
でも「亡くなった母親が大切にしていた温泉をなくすわけにはいかない」と言えば、それは単なる温泉紹介ではなく、家族の記憶や文化を受け継ぐ物語になります。

ストーリーには二つの型があります。

  • インサイト型ストーリー:顧客の本音に寄り添う。「あなたもこう感じているでしょ?」と共感でつなぐ。
  • ビジョン型ストーリー:未来を描いて誘う。「こんな社会を一緒につくろう」と呼びかける。

情報が「人の本音」や「未来の希望」と結びついたとき、それはストーリーになり、相手を動かします。


「ひとことで言え」という試練

私はラジオディレクター時代、企画会議や中継現場で上司から「で、ひとことで言って何なの?」と何度も詰められました。苦しい作業でしたが、この問いがあったからこそ、企画を磨き込み、核心に迫ることができました。

「ひとことで言え」とは、「問いをどこに置くかを決めろ」という意味です。

温泉の例をもう一度使えば、問いを変えることでまったく違うコンセプトが生まれます。

  • 危機・保存型の問い:「なぜ今なくしてはいけないのか?」
     → 「記憶を守る湯」
  • 顧客型の問い:「誰にとって大切なのか?」
     → 「都会人の心を癒す湯」
  • ビジョン型の問い:「未来にどんな意味があるのか?」
     → 「未来に残したい家族の物語」

同じ題材でも、問いが違えばストーリーが違う。だからこそ「一行化」は避けて通れない試練なのです。


ニーズとウォンツを見極める

ここで、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
「何を解決するのか?」という問いは、実はマーケティングの基本である「ニーズ」と「ウォンツ」に直結しています。

  • ニーズ(Needs)=根源的な必要性。「お腹がすいたから食べたい」「老後が不安だから安心したい」
  • ウォンツ(Wants)=その解決策のかたち。「寿司を食べたい」「投資で老後資金を作りたい」

企画や副業を考えるとき、多くの人が「ウォンツ」から入ります。
「ブログを書きたい」「アプリを作りたい」──けれど、それはあくまで解決策のひとつにすぎません。

本当に問うべきは「どんなニーズを解決するのか?」です。
温泉の例でいえば、

  • ニーズ=「癒されたい」「家族との記憶を大切にしたい」
  • ウォンツ=「母が大切にしていた温泉に浸かる」

副業の例でいえば、

  • ニーズ=「老後資金の不安をなくしたい」
  • ウォンツ=「ブログで稼ぎたい」「投資を学びたい」

ニーズに立ち返ることで、ウォンツは柔軟に変えられます。だからこそ「何を解決するのか?」という問いは、流行に左右されない強いコンセプトを生み出すのです。


副業や企画にすぐ活かせる実践法

ここまでの話を踏まえると、読者が実際に取れる行動はシンプルです。

  1. 問いを書き出す
    「誰の、どんな困りごとを解決するのか?」を必ず紙に書く。
  2. ストーリーに変える
    顧客の本音(インサイト)や未来像(ビジョン)と結びつけて語る。
  3. 一行に削ぐ
    「名刺の裏一枚」で言えるまで言葉を絞り込む。
  4. ニーズを見極める
    ウォンツに飛びつくのではなく、その裏にあるニーズを掘り下げる。

この繰り返しが、伝わる企画や副業アイデアを生みます。苦しいですが、ここを通らなければ誰の心にも届きません。


まとめ:「何を解決するのか?」から始めよう

アイデアを企画に変え、副業で形にするために必要なのは、派手なひらめきではなく「問いを立てる力」です。
「何を解決するのか?」と自分に問い直すことが、仮説を育て、ストーリーを生み、最後に一行で言い切る力につながります。

そして忘れてはいけないのは、ウォンツではなくニーズを見ること。
ニーズを解決するコンセプトは、流行や手段が変わっても生き続けます。

副業ブログでも、新しい企画でも、仲間とのプロジェクトでも──すべての出発点は同じです。
「何を解決するのか?」から始めてください。そこから、伝わる力が生まれます。

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この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
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