自分を楽しませる力|感情に振り回されず成果を出す人の共通点

あるインタビューで、草なぎ剛さんがこんな言葉を口にしていました。
「自分を楽しませるのは、自分しかいない。」

この一言に、妙に納得させられました。
どんなに周りが励ましてくれても、どんなに評価されても、心の底から自分が納得していなければ、満たされることはありません。
モチベーションが高い日もあれば、下がる日もある。
好きな仕事もあれば、苦手な業務もある。
それでも仕事を続けていくためには、外の要因に左右されず「自分を楽しませる力」が欠かせない。
この言葉は、単なるポジティブ論ではなく、働くすべての人に必要な“生き方の技術”を示していると思うのです。


なぜ「自分を楽しませる」ことが大切なのか

人は感情の生き物です。
気分がいい日は能率が上がり、気分が沈むと判断まで鈍る。
モチベーションという言葉はよく聞きますが、実際のところ、それは「外部の刺激に依存する状態」と言い換えることもできます。

つまり、モチベーションが高い・低いという波に支配されている限り、成果も安定しない。
信頼を築くどころか、「気分で動く人」という印象を与えてしまいます。

では、どうすれば感情に振り回されずにいられるのか。
その答えが、「自分を楽しませる」という考え方にあります。

「自分を楽しませる」とは、何も四六時中ワクワクしようという話ではありません。
それは、「どんな状況でも自分の機嫌を自分でとる」力のこと。
言い換えれば、「自分の感情のハンドルを自分が握る」ということです。

心理学では「内発的動機づけ」という概念があります。
他人からの評価や報酬ではなく、自分の中の好奇心や納得感で動くこと。
研究によると、この内発的動機づけを持つ人ほど、成果も幸福度も高いことがわかっています。

つまり、「自分を楽しませる力」とは、精神的に自立した人だけが持つ生きる技術なのです。


そこに隠された悩みとは?

多くの人が、こう感じたことがあるはずです。
「今の仕事、なんだかつまらない」
「自分に合っていない気がする」
「もっと刺激のあることをやりたい」

こうした感情の裏にある本当の悩みは、“自分の意思で意味づけしていない”ということ。
人は与えられた仕事に意味を見いだせないと、どんなに良い環境でも苦しくなるのです。

たとえば同じ業務でも、「つまらない作業」と感じる人もいれば、「効率化の余地がある」と興味を持つ人もいます。
違いは、仕事そのものではなく、“自分の捉え方”にあります。
人間の脳は「意味を見つけた瞬間」に快感を覚えるようにできている。
だから、自分を楽しませるとは「状況に意味を与える技術」でもあるのです。


報道志望のディレクターが気づいたこと

昔、ラジオの現場でこんな人がいました。
報道志望で入社した若手ディレクター。
ところが配属先は、まさかのバラエティ班。
本人は面白くもなんともない、という表情でした。
「俺は硬派なニュースを作りたくて入ったのに、笑いの番組なんて」と、しばらく腐っていました。

でもあるとき、先輩からこう言われたそうです。
「報道だって、聴いてもらえなきゃ意味ない。伝わらない正義ほど虚しいものはないよ。」

その言葉で、彼の中のスイッチが切り替わりました。
“面白く聴かせる報道”を作ろうと決めたのです。
そこから、ニュースの内容をどう表現すれば耳に残るか、どう言葉を選べば伝わるか、
笑いの文法を応用しながら、報道の新しいスタイルを模索しはじめました。

結果的に、彼は報道番組に戻ったとき、誰よりもリスナーに届く構成を作るディレクターになりました。
つまり、「バラエティをやらされた」時期が、彼の“武器”になったのです。
腐っていた時間は、意味を変えた瞬間に、価値へと変わった。

どんな仕事も、自分を楽しませる視点を持つだけで「修行の場」になる。
そう気づいた彼は、もう「不本意な配属」という言葉を使わなくなりました。


自分を楽しませる達人たち

同じように、自分を楽しませる力を持つ人たちは、どの世界にもいます。
彼らの生き方には、共通する哲学があります。

たとえば、イチロー。
誰よりも練習を楽しんでいた人です。
彼は言います。「努力を努力と思っているうちは、まだ本気じゃない。」
練習が義務から遊びに変わったとき、人は一流になる。
それは、まさに「自分を楽しませる」境地。

タモリさんも同じです。
どんな番組でも「どう遊べるか」を探す。
枠に縛られるのではなく、枠の中で自由を見つける。
それが彼の一貫したスタンスです。

糸井重里さんはこう語っています。
「おもしろがることに理由はいらない。」
おもしろがるとは、物事に対して常に能動的であること。
つまり、受け身の人生から抜け出すための第一歩。

そしてマツコ・デラックス。
嫌なことがあっても「これは観察の材料になる」と笑い飛ばす。
感情をネタに変える発想力は、まさに“自分を楽しませる達人”の思考です。

これらの人々に共通するのは、他人や環境に感情を支配されないという点です。
彼らは、自分の心を自分で扱う術を知っている。
その結果、長く、ブレずに、信頼を積み重ねているのです。


まとめ|自分を楽しませる人は、信頼を積み上げる人

どんなに嫌な仕事でも、最初のうちは結果よりも信頼の積み重ねが大切です。
その信頼は、才能ではなく「態度」から生まれます。
自分の機嫌を他人に預けず、自分で整える。
これができる人は、どんな環境でもブレない。

自分を楽しませられない人は、顔や声に疲れが出る。
その雰囲気は、仕事の信頼にも影響します。
一方、自分を楽しませられる人は、いつもエネルギーを持っている。
それは特別な才能ではなく、“日々の選択”の積み重ねです。

草なぎ剛さんの言葉、「自分を楽しませるのは自分しかいない」。
この言葉は、人生のどんな場面にも通じます。
環境や上司、天気や運ではなく、
自分の中の天気を晴らすこと——それが、心の成熟です。

自分を楽しませることは、他人を大切にすることにもつながります。
なぜなら、自分が満たされていれば、人に優しくできるから。
だからこそ今日も、自分の機嫌は自分で取って、穏やかに、しなやかに働きたい。
それが、どんな時代にも通用する「プロフェッショナルの条件」だと思うのです。


この記事を書いた人|ミライジュウ

メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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