「せっかく本を読んだのに、内容をすぐに忘れてしまう…」
そんな悩み、誰しも経験があるのではないでしょうか。
どれだけ優れた本を読んでも、記憶に残らなければ意味がありません。
本を「読んで終わり」にせず、仕事や人生に活かせる知恵として定着させるための鍵。
それが今回紹介する、脳科学に基づいた読書法――SQ3R(エスキュー・スリーアール)法です。
なぜ「読んだそばから忘れてしまう」のか?
私たちは「記憶力が悪い」と自分を責めがちですが、それは誤解です。
そもそも脳は、“忘れるように設計された臓器”だからです。
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した忘却曲線によれば、
新しく覚えた情報のうち、20分後には42%、1日後には74%が失われるとされています。
つまり、ほとんどの知識は「放っておくと消える」のが自然。
問題は“忘れること”ではなく、“思い出す仕組み”を作っていないことにあります。
多くの人がやってしまうのが、いわば「受け身の読書」です。
ただ文字を追うだけでは、脳は「これは重要ではない」と判断し、長期記憶に送ってくれません。
そこで必要なのが、「読む → 思い出す → 定着する」という能動的な学習サイクル。
それを構造化したのが、SQ3R法です。
SQ3Rとは何か? 5つのステップを理解する
SQ3Rは、アメリカの教育心理学者フランシス・P・ロビンソンが提唱した学習法で、
教科書や専門書などの理解・記憶を飛躍的に高めるために設計されました。
5つのステップ
- S – Survey(概観):全体を俯瞰して構造をつかむ
- Q – Question(質問):章ごとに疑問を立てる
- R – Read(読む):答えを探すように能動的に読む
- R – Recite(再現):読んだ内容を自分の言葉で説明する
- R – Review(復習):時間をおいて再確認する
この5段階は、読む前・読んでいる最中・読んだ後という3フェーズに明確に分かれています。
SQ3Rが優れているのは、「読む前」と「読んだ後」を重視している点にあります。
- 読む前(S・Q)で、目的と集中力を明確にする。
- 読んでいる最中(R)に、問いの答えを探す能動的な姿勢を維持する。
- 読んだ後(Recite・Review)で、記憶を定着させ、知識を自分の言葉で再構築する。
これはいわば、「知識を脳に刻みつける5段階リレー」です。
SQ3Rをどう実践すれば効果が出るのか?
忙しい社会人でも実践できるように、1冊の本を読むときの行動ステップを整理してみましょう。
ステップ | 行動 | 実践のコツ |
---|---|---|
S(概観) | 最初の3分で目次・見出し・図表をざっと見る。 | 「この本は何を伝えたいのか?」をざっくり把握し、頭に“地図”を描く。 |
Q(質問) | 各章の見出しを疑問文に変える。 | 「〇〇の原則」→「〇〇の原則とは何か?」と問いを立てるだけで集中力が変わる。 |
R(読む) | 質問の答えを探すように読む。 | 答えが見つかったら線を引く。完璧主義より“拾い読み”で十分。 |
R(再現) | 本を閉じて、自分の言葉で要約する。 | ここが最大の定着ポイント。ブログの下書きにするのもおすすめ。 |
R(復習) | 読了直後、翌日、1週間後に見返す。 | 「思い出せなかった部分」を恐れず、もう一度“Recite”して強化する。 |
このサイクルを1冊あたり30分〜1時間で回すだけでも、記憶の残り方が劇的に変わります。
要は、「読書を“筋トレ”のように反復する」という発想です。
「忘れること」は悪ではない
多くの人は「忘れる=悪」と捉えますが、実はそれこそが脳の防御機構。
情報を選別するフィルターの役割を果たしているのです。
むしろ一度忘れて、再び思い出すことで、記憶のネットワークはより強固になります。
これを心理学では「想起練習」と呼びます。
つまり、SQ3Rの「Recite」「Review」は、単なる復習ではなく、記憶を再構築する行為なのです。
何度も思い出される情報こそが、脳にとって「生きた知識」として保存されます。
「忘れた」ではなく「選別が進んだ」と捉えると、学びのモチベーションは一気に変わります。
SQ3Rで読書を「自己成長のサイクル」に変える
読書で成果が出ないのは、あなたの理解力が低いからではありません。
単に、「読んだあとに“使う仕組み”がない」だけです。
SQ3Rの真髄は、読んだ知識を自分の行動に変換する構造にあります。
読む前に問いを立て、読後にそれを自分の言葉で語る。
このサイクルを繰り返せば、知識はやがて「自分の考え」として定着していきます。
そして、ブログ執筆そのものがReciteとReviewになります。
文章化することで、あなたの中の知識が整理され、再び読み返すたびにアップデートされる。
それが、ゼロイチ的「知識の再投資サイクル」です。
次に本を開くとき、ぜひ試してみてください。
「読む前の3分」と「読む後の5分」が、あなたの学びを何倍にも変えてくれます。
この記事を書いた人|ミライジュウ
メディア関連企業の業務部長。ラジオ演出30年の経験を経て、
「50代からでも“1円を生む力”は育てられる」と信じて発信中。
毎朝4時起きでランニング・筋トレ継続中。
▶︎ 運営者プロフィールはこちら
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