なぜ行動力が続く? 著名起業家が大切にする「心の勢い」の作り方(マインドフルネス×モーメンタム)

「朝ベッドから出られない」「かけなくてはいけない電話を、まだかけられていない」— やりたいことがあるのに、体が動かない。毎日そんな自分にイライラしていませんか?

「とにかく1分だけやろう」「ご褒美を用意しよう」といった従来の先延ばし克服法さえも、実行するのを先延ばしにしてしまう方に朗報です。

その悩みを解決するカギが、「モーメンタム(Momentum)=勢い」です。

ChatGPTを開発したアメリカの起業家サム・アルトマンも、斬新なアイデアや資金よりも大切にしているという、この「勢い」の正体とは何でしょうか?


モーメンタムとは? 3つの分野で理解する「勢い」の正体

モーメンタムは、もともと「勢い」「はずみ」「推進力」を意味する言葉ですが、文脈によってその意味は異なります。

  • 金融・証券:
    • 相場の勢いを評価するテクニカル指標。過去の上昇トレンドに乗っている銘柄が、その後も上昇しやすい現象を「モメンタム効果」と呼びます。
  • 物理学:
    • 運動量(物体の質量 $\times$ 速度)を意味します。運動量が大きい物体は、動きを変えるのにより大きな力が必要です。
  • ビジネス・行動:
    • プロジェクトや目標達成に向けた持続的な推進力や流れ。

この物理学的な概念を私たちの「行動」に当てはめたのが、行動分析学の重要な理論です。


行動分析学の核心:「行動モーメンタム」とは?(ジェームズ・ネヴィン)

行動モーメンタム(Behavioral Momentum)は、ジェームズ・ネヴィン氏らが提唱した理論です。これは、私たちの行動の変化のしにくさ、すなわち「やめたいと思ってもやめられない」「始めたいと思っても始められない」といった変化抵抗を説明するために使われます。

⚛️ 物理の慣性と行動の「しぶとさ」

ネヴィン氏らは、行動の変化抵抗を物理学の「慣性の法則」になぞらえました。

  • 行動モーメンタムが強い(勢いがある)行動とは?
    • 過去に強化子(成功やご褒美)を頻繁に受け取っていた行動です。

つまり、過去に「うまくできた」「褒められた」「達成感があった」といった成功体験が多い行動ほど、勢いが強く、外部からの邪魔(「今日は疲れたからやめよう」という誘惑)が来ても、なかなか止まらなくなるのです。


「やめたい」を乗り越える! モーメンタム活用術

この行動モーメンタムの理論を、あなたが直面している「情報発信をやめたい」「なかなか継続できない」という悩みに応用しましょう。キーワードは、「強化頻度の最大化」と「勢いの連鎖」です。

💡 行動モーメンタムを「高める」戦略(強化頻度の最大化)

情報発信におけるモーメンタムを高めるには、「成功体験(強化子)の頻度」を意図的に最大化することが重要です。

  • 簡単な目標から始める:
    • 目標を「長文記事の毎日投稿」から、「X(旧Twitter)で一言だけ投稿する」「既存の投稿に画像だけ追加する」など、必ず実行できるレベルまで下げてください。
    • 投稿の質ではなく、「発信を完了した」という成功体験を毎日確実に得ることが最優先です。
    • この達成感こそが行動を続けるための強力なエンジン、すなわち「モーメンタム」になります。

🌊 勢いを「連鎖」させる戦略(変化抵抗の打破)

「今日はどうしてもタスクが重い」と感じたとき(変化抵抗が強いとき)には、この「勢い」を意図的に利用します。

  1. 高モーメンタム行動で勢いをつける:
    • まず、簡単な発信(勢いのある行動)を連続で実行します。(例:ストーリーズに写真を投稿、フォロワーのコメントに3件返信する)。
  2. 低モーメンタム行動へ移行する:
    • その勢いと達成感が残っているうちに、面倒に感じる発信(変化抵抗の強い行動)に取り掛かりましょう。(例:ブログの執筆を始める、重い企画書の作成に着手する)。

この「簡単なタスクで加速し、その勢いで重いタスクを押し出す」という連鎖こそが、行動モーメンタムを活用した最強の継続術なのです。


最新の学び:「心の勢い」の作り方とマインドフルネス

行動モーメンタムの理論を理解した上で、「それでもなかなか動けない」という方のために、精神科医の川野泰周氏とコンサルタントの恩田勲氏の共著『クヨクヨしない すぐやる人になる 「心の勢い」の作り方』が、最新のアプローチを提唱しています。

🧘 なぜ米国のマインドフルネスは行動力につながるのか?

この書籍が指摘するのは、マインドフルネスの新しい活用法です。

  • 従来の捉え方: 「リラックス」「心を落ち着かせる」といった静的なイメージ。
  • 本書が提唱する視点: サム・アルトマンなどの著名人が実践するように、「集中力を高め、心を整え、行動への推進力(モメンタム)を生み出す」ための能動的なツールとして活用する。

つまり、マインドフルネスは「行動を止める」ためではなく、「行動を促すための心の勢い」を生み出すために使うべきだ、という新しい視点を与えてくれます。

✨ 「ずぼら」でもできる!ユニークな行動加速ワーク

本書で紹介されるワークは、継続を挫折させる「面倒くさい」という心理的な抵抗を徹底的に排除しています。

ワークの例目的とモーメンタムへの効果
ルンバ瞑想単調な動きを観察することで集中力を高め、行動への心の準備状態(勢い)を作る。
納豆かきまぜ瞑想単調な動きに没頭し、無心になることで、余計な思考(クヨクヨ)をストップさせ、行動への抵抗を減らす。
推しに没頭する時間を気にせず好きなことに没頭することで、高い集中状態を体験し、心の勢いをチャージする。

これらのワークは、難しく考える必要はありません。ただ好きな時に、楽しみながら、やってみる。そうするうちに、あなたの心に「勢い」が出てきて、行動し続けられる人になる、というのがこの本のメッセージです。


今日からできる「1分モーメンタム」

行動モーメンタムの力を理解し、それをマインドフルネスで加速させる方法を知ったあなたは、もう「動けない自分」にイライラする必要はありません。

完璧な投稿を目指すよりも、継続して勢いを失わないこと。

今日から、まずは「一言だけ発信」をやってみてください。それがあなたの「行動モーメンタム」を高める最初の一歩となり、やがてあなたの行動を止められない強大な力となるでしょう。

「動くから勢いがつく。勢いがつくから、さらに動ける。」

この好循環を、今日から始めてみませんか?

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